【既報関連】今年の財政目標である、基礎的財政収支の赤字額を1390億レアル以内におさめるため、ブラジル政府は燃料関連税の引き上げに続き、国家公務員への希望退職計画(PDV)を作成中と、25日付現地各紙が報じた。
ジオゴ・オリヴェイラ企画相の見解では、これにより1年につき10億レアルの支出削減になるという。国家公務員へのPDVは、フェルナンド・エンリケ・カルドーゾ政権時代(1995―2003)の1996年に5千人の国家公務員を削減して以来のことだ。
国家公務員は60万人以上いるが、今回のPDVには少なくとも、1%近い5千人が応じると期待されている。
企画省は、今回のPDVには、実働時間を現行の1日8時間、1週間40時間勤務から1日4~6時間(週20~30時間)に減らし、給与もそれに応じて引き下げるプランも含む意向だ。
勤務時間と給与を減らすことに同意した職員には、1日当たり半時間分の給与が加算される。この場合は、仕事の内容が公務と競合しない限り、空いた時間を使った副業や、民間企業の経営部門勤務も可能となる。
オリヴェイラ企画相によれば、政府は公務員の人件費削減に腐心しているという。試算では、PDVによって生じる特別手当などの経費は、人員減によって生じる人件費削減分で賄えるという。
政府や、財務省、企画省の経済政策チームは、燃料関連税を引き上げた後、ジウマ政権が決めた公務員の給与調整を行ったために生じた人件費拡大分に対処(節約)する方策を講じていないと批判を受けていた。
PDVに関する規定は、国家公務員が即座に応募できるよう、暫定令の形で議会に送られるが、実際に人件費の支払いに影響し始めるのは2018年度からだ。
政府は8月に議会に提出する来年度予算案に、PDVによる支出削減分を組込む予定だ。
政府は、PDVへの応募を促すため、希望退職する職員には年収の1・25倍の特別手当を出す予定だ。この特別手当は所得税や年金積立金の徴収対象外とされる。PDVへの応募は2022年まで可能だという。
企画省が作ったPDV案は、テメル大統領とそのスタッフも分析する。その過程で、無給での一時休職の権利も認められる可能性がある。
国家公務員の人件費は年間2844億7千万レアルに達しており、社会保障費の5597億レアルに次ぐ負担となっている。
政府主導の人件費削減策は、国営の公団、公社では既に始まっている。企画省による国営企業再構築プログラムは、今年だけで少なくとも2万人の公団、公社職員の退職を見込んでいる。
昨年は、郵便局やエレトロブラス(電力)、ペトロブラス(石油)を中心に、2万2千人がPDVで退職している。