世界の大豆生産の90%はブラジル、アメリカ、アルゼンチン、中国、インド及びパラグァイの6カ国によって占められ、それに最近はウルグァイとボリビアの急速な増産が続く構図になっている。そして、全世界の大豆作付け面積は概ね100万平方キロメートルに達する。
大豆の輸出大国の一国であるパラグァイは、隣国の貿易大国ブラジル及びアルゼンチンに隣接する海を持たぬ小内陸国である。
田園人口の深刻な国内都市圏への移住に拘わらず、依然としてパラグァイの経済発展は主に80%弱を大豆と牛肉の輸出に依存する農牧業立国である。
この農牧セクターの貢献でパラグァイの経済成長率は世界で3番目の14%に達し、南米地域では1番のランクに輝いている。
輸出に関しては、グローバル・スケールで見ると大豆は第4位、有機オーガニック砂糖は第1位、そして、牛肉生産国としては第8位に位置している。
▼何もが上手くは行かない世の中
しかしながら、この経済恩恵は公平に一般には行き渡らず、農村の三人に一人のパラグァイ人は極貧の淵にあって、政府は農政改革の失政に起因する多くの社会問題に追われている。
他方、過去10年間の我が誇れる好調な経済成長ではあるが、パラグァイは南米地域諸国に比し、自然林、湿原地、放牧地の保護及び人間開発の面で後塵を拝している。
我がパラグァイは、2013年度には世界で2番目の森林乱伐率を記録し、人間開発では186カ国中、111番目の低いランクに甘んじた。
小農家の支援政策は政府の優先課題であるが、その助成資金の欠乏(管理の不始末)に悩む反面、大型機械化・企業農業は税金免除、産業融資、寛容な自然環境保護や労働法規制の適用等々多くの特権的な優遇措置を受けている。
これが、強大な政治権力、広大な土地と財力を少数派の手に集中的に握らせる結果になっているのである。
つまり、不公平な農民の土地取得事情はパラグァイで農村の貧困を招く主な原因なのである。経済エリートや大地主はより広大な土地をコントロールする一方、無数の農民や土着民インディアンは生存の手段に悩み、都市圏への移動を余儀なくされるのだ。
この根深い貧困問題は農民の過去10年来における、妥当な面積の土地を取得する事の難しさに直結している。
すなわち、問題は10ヘクタール以下の土地面積の所有小農家に集中しているのだ。
▼躍進する大豆種子の国産化
この度、農牧省・MAG管轄下の「パラグァイ農業技術研究所=IPTA」及び「農業生物工学バイオテクノロジー研究所=INBIO」は、初めての純国産品種の大豆種子、総量トータル536・800キロの生産に成功した事を、目下マリアノ・ロケ・アロンソ市で開催中のEXPO・2017(毎年7月中旬に行われる商工農牧サービス業を網羅したパ国最大の国際博覧会)の農牧省・MAG館(スタンド)において公表した。
詳細は、当地で2016農年度から2017農年度に掛けて生産した品種R‐19号の一袋40キロ入り9・945袋、及び品種R‐24号の同3・475袋のそれぞれである。
この紹介に当たったのは、両研究所のコンサルタント、Mohanモハン・・Kohliコーリ専門家で、「研究チームの技師達にとって最も重要だったのは、生産者が一番の悩みのアジア錆病に強い大豆品種を開発する事だった」と述べた。
収益性の件は研究に際し、第二義的な問題にされた。しかしながら、パラグァイの新品種はその件に関し良好な結果をもたらした。これまでパラグァイの大豆生産効率は、ヘクタール当たり平均3千キロだったが、今回の新開発品種は平均4千キロの好効率パフォーマンスを挙げたのである。
このアジア錆病に強い我が大豆品種のもう一つの長所は病虫害防除の農薬散布の回数が少なくて済むと言う利点である。
我が国で最も多く蒔き付けられている大豆品種NA‐5909号の場合のこれに比べて、三分の一の散布回数で足りると言うのである。
つまり、同品種は一作付け期間中3回の農薬散布を要するが、我が国産新品種は 一度の散布で間に合うのだと、Mohanモハン・Kohliコーリ専門家は説明した。
なお、ヘクタール当たり一回250ドルの散布費用の節約に加えて、自然環境及び人間を含めての生物の衛生管理にも益すると付言した。
次の段階の研究は、パラグァイ各地の気候条件に沿ったベスト品種の開発が期待される。(註=7月21日付ウルティマ・オーラ紙の記事から引用)