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四世ビザに「条件付き賛成」?=本人や関係者に意見聞く=(13、終わり)=親の勝手に振り回される子ども

中川さん

中川さん

 中川さんの「カエル・プロジェクト」はサンパウロ市内を中心に活動を行っている。日本から帰国したブラジル人子弟を対象にポ語授業、各学校に心理的サポート、保護者指導などを行なう。ブラジル三井物産基金の助成案件だが、助成金が出るのは今年末までだそうだ。昨年の参加者は小中学生を中心に80人で、ポ語レベルはバラバラ。
 その中で日本から帰伯後、今までと違う環境に適応できずに不登校になってしまうケースもある。「帰国した小中高の子がブラジルで育っていけるようサポートしている」と語った。
 中川さんは「共生とはなにか?」との疑問を投げかけた。「大きなブラジル人コミュニティーがある群馬県大泉町のように、同じ場所で生活するけど、住み分けがしっかりしていて交流はあまりないというのは、『共生』なんでしょうか。交流とは、お互いになにかを学び変わることがあることだと思う」。
 昨年から増え始めた訪日就労者の中には、12~16歳の子どもを連れ再度日本に戻る人もいる。そういった保護者の子どもに多いパターンは、「日本で生まれ育ち、親の都合でブラジルにいったん帰国。苦労してポ語、ブラジルの文化に慣れた矢先にまた親の意思で日本に帰る」というものだ。
 中川さんはそんな子どもたちの気持ちを、こう推測する。「努力しても無駄だった、もう勉強を頑張っても意味がない。日本で覚えた漢字も全部忘れて一生懸命にブラジルの学校について行けるように弁償した。だからもう日本の学校の勉強についていけない。そんな気持ちの子供たちは本当に荒れている」と代弁する。
 保護者の勝手な意思に翻弄される子弟――彼らは日本でもブラジルでも、義務教育をまともに終えず、すぐに工場労働をはじめるしかない。だが場合によっては、非行に走る恐れも…。
 昨年から日本では、それまで外国人が集住していなかった地域に、ブラジル人が急増して当初の頃ような住民との摩擦問題が再燃してきたケースもあるそうだ。
 かつて急増した地域ではある程度解決した問題だが、別の地域では「新しい問題」として再び起きている。中川さんは「日本の教育機関には地方自治体の枠を超えた横のつながりが弱すぎる」と苦言を呈した。
 中川さんは、外国人労働者が増え続ける日本の現状に対し、「アジアからの労働者にも同様の問題が見え隠れしている。ブラジル人をモデルケースとして取り扱わなければ、他の国籍の外国人にも同様の問題が起きる」と警鐘を鳴らした。
 おりしもブラジル大使館も在日ブラジル人子弟の教育問題に注目し始め、6月には上院の教育文化スポーツ委員会で議題として扱われた。
 そんなときに、今回の四世向けワーキングホリデービザの話が突然のように湧き上がってきた。
 中川さんは「解決には膨大な時間が必要だと思うが、変わる可能性はある」と期待を込めた。(終り、國分雪月記者)