ブラジリアの空港が、同空港に貼られる予定だった、テメル大統領を批判するポスター2種類の掲示を禁止したが、そのポスターの内容が話題を呼んでいる。
問題のポスターは、人権や環境問題に関する社会活動を行っている非営利団体「AVAAZ」が2万5千レアルを払って作成したもので、24日からの1週間、ブラジリア空港の出発ロビーと着陸ロビーに貼られる予定だった。
しかし、この内容が大問題となった。このポスターは二つとも、世界的な大ヒット・テレビドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」をパロディにした、テメル大統領への批判ポスターだった。
一つは、憎まれ役の権力者が座ることで知られる、兵器で作られた椅子「アイアン・スローン」に腰掛けるテメル氏。そして、もう一つが、凶悪な亡霊騎士「ワイツ」が吹雪の中で立ち尽くす姿だが、そこにもテメル氏の顔が入れられていた。
そして、このポスターには両方共、「下院議員たちよ。テメルへの告発を受け入れろ」とのメッセージが添えてあった。
これは、検察庁から提出されたテメル大統領に対する収賄疑惑での告発を、下院が受け付けるか否かの投票にあわせたものだ。この投票は8月2日に下院で行われる、
この投票で下院議員の3分の2以上が「告発を受け付ける」に賛成し、最高裁がその結果を受け入れれば、テメル氏は刑事裁判の被告となり、180日間の職務停止処分を受ける。
だが、同ターミナルの広告を管理するJCデコー社がこの内容に気がついたため、ポスターの掲載の話は立ち消えとなった。
AVAAZはこの掲載禁止の命令に従った。だが、同団体ブラジル支部代表のジエゴ・カザエス氏は、劇中のドラマがブラジルのラヴァ・ジャット作戦での不正に似ているとよく指摘されるネットフリックスのドラマ「ハウス・オブ・カード」の例を出し、「政治的な強いメッセージも込められていたあのドラマの広告は掲載されたのに」と不満を語った。
同代表は「私たちを黙らせることはできても、ネットや街の声を消すことはできない」とも語っている。
27日に発表された世論調査によると、テメル大統領の国民からの支持率は5%にまで落ちている。(27日付Veja誌サイトより)