【既報関連】財政難から支出切り詰めを行っているブラジル連邦政府は、27日に、先に発表していた59億レアルの支出削減の具体案を発表した。支出削減策の中心となるのは経済活性化計画(PAC)だ。今年のPAC予算には361億レアルが割り当てられていたが、3月に89億レアル削減されていた。今回は2度目の予算削減で、その幅は75億レアルに及ぶ。これでPAC予算は累積164億レアルの削減となり、197億レアルしか使えなくなると28日付現地各紙が報じた。
PACからの削減が決定した74億8千万レアルの内、52億3千万レアルは直接的な切り詰めで、残りの22億5千万レアルは、より困窮している部門や、優先度の高い部門への再編成の形が取られた。
政府はここ数日、今年の財政目標「基礎的収支赤字1390億レアル以内」の達成のため、増税や人件費削減策、予算削減など、まさに取れる手段は全て取る勢いだ。
PAC予算の削減は、財政目標を達成するためには不可欠と、経済政策チームが判断して決めたことだった。
27日発表の支出削減で、今年の支出削減額は450億レアルに達した。
今年の赤字を財政目標以内に抑える目的での予算削減は、全ての省庁で行われている。経済政策スタッフは、年頭に行った支出削減だけで、目標を達成できればと考えていたが、国庫への収入が増える見通しが立たず、2度目の支出削減策導入となった。
8月2日に予定されている、テメル大統領(民主運動党・PMDB)への告発受け入れの是非を問う下院投票を目前に控え、テメル大統領は、議員割り当て金4億2600万レアル分と、政党への割り当て金2億1400万レアル分も凍結した。
議員割り当て金は各議員の関心の高いプロジェクトの予算に当てられるもので、現政権は、与党議員を満足させ、告発受け入れを阻止するために使うことも考えていた。
ジオゴ・オリヴェイラ企画相は、予算削減は一時的なもので、3月に行われた国内の四つの空港経営権入札で、落札した企業による保証金の入金その他、55億レアルに上る予算外収入が国庫に入り次第、削減幅を減額するとの意向も表明した。
同企画相はまた、PAC予算の削減は、一時的な工事のスピード低下を招く可能性があるが、長期的に見た場合は、予算外の特別収入などによって将来的に投資額を確保することで、工事計画を遂行することが出来るので、PAC全体には大きな影響を及ぼさないとも語っている。