開館以来、連日賑わいを見せ、ついに来場客が23万人を突破したジャパン・ハウス(以下、JH)。オープニング企画展示「竹―日本の企画展」に代わり、29日から巡回展「竹尾ペーパー・ショー『SUBTLE―サトル―かすかな、ほんのわずかな』」(株式会社竹尾主催)が同館2階で開催される。18日から地上階で開催中の『隈研吾―エターナル・エフェメラル(永遠の儚さ)』展とあわせ、新たに注目を呼びそうだ。
本展示を主催する竹尾は1889年創業以来、高級特殊印刷用紙を開発、提供してきた専門商社。高品質が要求される本の見返しや扉などの部位では、7割近く国内のシェアーを誇る。日本の製紙業を牽引してきた先進的企業だ。
紙の使い方を顧客に伝えることを目的に同ショーは65年に始まった。『SUBTLE』をテーマとする本展示は、14年から日本をはじめ台北、ミラノで開催され盛況を博してきた。
昨年、イタリアのミラノで開催された時は15日間で約2万7千人が来場。佐久間康夫執行役員(55、千葉県)は「人間の繊細な感性は国境を越えて通じるもの」と手応えを得たと語り、それがJH巡回展への応募につながった。
世界三カ国のJHを巡る初の巡回展となった本展。和紙など様々な紙の質感、色彩、素材、技法を活かし、多領域の制作者により表現された27つの作品が4部構成で展示される。
紙の繊維の柔軟さと強靭さを活かし、輪にして折り曲げ繋げ合わせ、見る角度により色彩が変化する微細構造物『コントロール』。アルゴリズムの原理により、3色から120色のグラデーションを再現した構造物『NTラシャ』など、紙を通して研ぎ澄まされた鋭い感性や最先端技術を発見できそうな作品群だ。
青柳晃一企画部部長(50、千葉県)は「紙は千年以上に渡って日本人と共生してきた。JHのコンセプトに非常に合ったもので、オープニング企画にはぴったり」と自信を覗かせる。「紙の強さや脆さ、紙の角が与える緊張感など様々な表現を楽しんで頂ければ」と来場を呼びかける。30日には紙で器を作るワークショップも。
地上階で開催中の隈研吾氏の特別展示は、3つのパビリオンで構成されている。巨大な風船の上に、1平方メートルあたり11グラムほどという天女の羽衣が被された移動式茶室『浮庵』、建築のコンセプトとなってきた『積み木』や、レシフェの技術を工夫した『コボゴ』のほか、同氏の建造物の模型等が展示されている。
開館は火~土曜日までは午前10時から午後10時まで。日曜祝日は午前10時から午後6時。両展示は9月10日まで開催する。
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青柳企画部長によれば、竹尾社が書籍向けに取り扱う紙だけでもおよそ7千種類。白だけで数千種あるという。商品のイメージをどんな質感で、どのように表現するのか提案するのが同社の営業スタイル。それゆえ、ペーパー・ショーは重要な機会だとか。同社の主力商品は『VENT・NOUVEAU』。再現性が良いと質感が悪く、質感が良いと再現性が落ちるというのが通常。そんななか、両方の特性を備え、分厚くても軽いというのがこの商品の特徴だとか。これにより、書籍のトレンドを牽引してきた。トイレの紙も流せないレベルの製紙技術の当地だからこそ、日本の繊細な技術を見せる展示では大きな反響が期待できるかも?!