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《ブラジル》大統領選=極右候補のボルソナロがPENに移籍=当選を目指すには不利な零細政党に

ボルソナロ氏(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agência Brasil)

ボルソナロ氏(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agência Brasil)

 現在、18年大統領選の世論調査で2位につけて注目されている極右大統領候補のジャイール・ボルソナロ下院議員が、来年の大統領選を狙い、全国環境党(PEN)に移籍することが確実となった。
 ボルソナロ氏は現在、ルーラ元大統領をはじめとした左翼の労働者党(PT)や、現在の大統領のテメル氏の民主運動党(PMDB)の汚職スキャンダルに幻滅した人たちを中心に、ネット上で人気を集めている。この結果、世論調査では、8年ぶりに大統領返り咲きを目指すルーラ氏の30%に続き、15%で支持率2位につけている。
 だが、国民の人気とは引き換えに、政治家仲間の間での評判が決して良いとは言えないのがボルソナロ氏の弱点だ。昨年7月に行われた下院議長補選では、所属政党のキリスト教社会党(PSC)の党員からも票が入らず、わずか4票で撃沈。さらに、報道で「26年も下院議員をやっていて、通した法案はわずか2件」などとも伝えられている。
 それでも同氏が国民の一部に受けがいいのは、軍隊出身の同氏が一般の人が言えないような、女性、黒人、同性愛者、ユダヤ人などへの差別発言を繰り返すことを、「正直でいい」と評価する人や、「自分たちの国のトランプだ」と信じる人たちがいるためだ、あと、現在政界を揺るがしているラヴァ・ジャット作戦の疑惑に同氏の名前があがっていないことも好感度につながっている。
 ただ、ネット上ではそれで良くとも、政界ではそういうわけにはいかない。ボルソナロ氏は当初、下院議員数で4位の進歩党(PP)にいたが、PPでは大統領候補になれそうにないため、大統領選出馬の望みをかけ、キリスト教福音派系の政党の中でも、最も言動が保守的とされるPSCに移っていた。
 ただ、PSCでさえも問題があった。同政党の下院議員数は15人。ブラジルの場合、選挙キャンペーンでの放送持ち時間は下院議員数に比例して割り当てられるため、PSCの力では微々たる時間しか持てない。
 さらに追い討ちをかけるように、PSC内でさえもボルソナロ氏の大統領選出馬に難色を示す声があった。これが同氏が離党を余儀なくされる理由にもなった。
 そうしたこともあり、ボルソナロ氏に対しては同じ宗教系政党の共和党(PR、下議40人)、ブラジル共和党(PRB、下議26人)などへの移籍話も浮上したが、結局、移籍先は下院議員数わずか3人のPENとなった。
 政党過多のため、議席数513人の下院さえ、下院議員数が100人を超える政党がないブラジルにおいては、ある程度の議員数を抱える政党がどう連立を組むかが毎度注目される。
 だが、下院議員が3人しかいない政党では、仮に大統領に当選したとしても、一体どの党が連立を組もうとするだろう。国民は、現実的な問題も考慮して、候補者を選ばなければならない。(7月31日付フォーリャ紙サイトなどより)