7月29日にリオの名門サッカークラブ、フルミネンセの監督アベル・ブラガの息子、ジョアン・ペドロさん(19)がアベル・ブラガと共に暮らすマンションのベランダから転落死する事故が起きた。
だが、事故からわずか4日後の8月2日、アベル・ブラガが事故後初めて、フルミネンセの試合の指揮をとった。
監督の息子が突然死亡との一報が入った時、ブラガはチームと共に練習を終え、翌日に予定されていた、ブラジル全国選手権第17節の敵地ポンチ・プレッタ戦に向けた遠征の準備をしているところだった。
チームはすぐに遠征を取りやめ、ポンチ・プレッタとブラジル・サッカー連盟(CBF)に、試合の延期を要請した。要請は受理され、ブラガ監督と近親者が出席しての葬儀は、その日の夜に行われた。
現ブラジル代表監督のチッチは、ブラガ監督を支え、励ますために葬儀に現れ、リオから400キロ以上も離れたサンパウロのチーム、パルメイラスで指揮をとるクーカも、車を飛ばしてリオに駆けつけた。マンチェスター・ユナイテッドのモウリーニョ監督からも弔電が届いたと報じられている。
過密日程のブラジルでは、すぐに次の試合が入っており、涙に暮れてはいられない。
ブラガ監督は気丈にも2日の敵地スポルチ戦に姿を見せ、チームの指揮をとった。対戦相手のスポルチのルシェンブルゴ監督もブラガを抱きしめ、スポルチの選手たちも慰めの言葉をかけた。スタジアムに集ったスポルチのファンも、ブラガに大きな拍手を送り、励ました。
試合はフルミネンセが2点を先取したが、スポルチも反撃し、2対2の引き分けに終わった。
ブラガは試合後に、「こうして温かく迎えてくれるなんて思いもしなかった。感謝している。これまでの自分の人生、息子の人生は幸せだった。息子は温かく、正直で、高潔な人間だった。友人にも恵まれていた。国外のチーム、パリ・サン・ジェルマンやリバプールからの弔電にも感謝している。個人的に弔電をくれたモウリーニョにも感謝している。フランスやポルトガルからのメッセージはかけがえのないもの」と語った。
悲劇の後、初めてとなるフルミネンセのホームゲームは、5日のマラカナンスタジアムでのアトレチコ・ゴイアニエンセ戦だ。ブラガ監督を励ますため、多くの観衆が詰め掛ける事が予想されている。(3日付G1サイトなどより)
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