【既報関連】先々月27日にウバツーバ市議会で全会一致により可決された、監獄島アンシェッタに収容された日本移民を顕彰して制定された9月23日の『日本移民の日』―。発起人の坂本メリーザさん(59、二世)らを中心に関係者は先月13日、サンパウロ市文協内の会議室で一堂に会し、記念式典の開催に向けて準備を本格化させた。
会議には佐藤デウシオ市長、ルイス・アントニオ・ビスチョフ同市観光局長、オスマル・デ・ソウザ市議をはじめ、立法化に向けた運動に協力してきた郷土史家サミュエル・メシアス・デ・オリベイラさん、奥原マリオ純さん、アンシェッタ島史料館のジゼリ・アレイアス・ノブレガ館長、文協からは島袋カミロ理事、大井セリア移民史料館元館長らが出席した。
冒頭で佐藤市長は「移民百周年を機に、現地の日伯協会は日本祭を始め、活動を活発化させてきた。協会の規模は大きくないが組織立っている」と紹介した。来年の移民110周年に向けて「日伯関係をさらに深化させる重要な機会になる。皇族がご来伯されるならば、ぜひとも私たちの町に立ち寄って頂きたい」と期待を語った。
「来年には『日本移民の日』の祝典に合わせ、日本文化に関連した劇やショー等を一週間に渡って行う『移民週間』を開催して盛大に祝いたい。次世代に繋がる遺産にできれば」との熱い思いを語った。
大井元館長は「心理的に追い詰められた日本移民の苦しい歴史。今の若い世代はそういう史実を知らないのでは」と前置きし、「110周年事業にそれを知らせる事業を加え、先人の軌跡を想起することは意義深い」との認識を示した。
会議では今年度の式典準備、移民110周年記念事業への追加、それに併せた同市への皇室ご招待の可能性について議論が行われた。9月の初式典に向けては、同島で当時リーダー格であった山内房俊さんや本家政穂さんが当時修理した発動機の展示や、日本移民の歴史を刻んだパネル設置について議論された。当日は同島で記念式典を行ない、市街に戻って祝典を行うことなどが具体的な案として浮上した。
会議後に呉屋春美文協会長は一行と懇談し、佐藤市長に功労賞を授与した。来年のウバツーバの記念事業は110周年事業の一環となる見通しだ。皇室ご招待については総領事館を通じて働きかけていくとした。
先月18日にも、ウバツーバ市で佐藤市長を含めて第2回目会合が行われ、式典に向けた準備が着々と進められている。会議を終えて奥原さんは「必要な役者が全て揃っていて、話がとんとん拍子で進んでいる。式典は必ず成功するはず」と期待に胸を膨らませた。