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リオ五輪=放棄された施設の遺産化は?=有効利用に苦慮する政府=継続支援を訴える選手も

リオ五輪カヌー用の水路には汚れた水がたまっている(Renato Sette Câmara/Prefeitura do Rio)

リオ五輪カヌー用の水路には汚れた水がたまっている(Renato Sette Câmara/Prefeitura do Rio)

 世界を熱狂させたリオ五輪の開幕から1年。遺産としてリオに残るはずだった競技施設が有効活用されていない状況、また大会後にそれまでの経済的支援を打ち切られ、競技継続にも苦しんでいる選手たちの様子を5、6日付現地紙・サイトが報じた。
 大会直後の記者会見で、「バーラの五輪公園の運営を民間業者に委託する計画があるが、申し出はあるのか?」と問われたレオナルド・ピッシアーニ・スポーツ相は、「まだないが、必ずや手を挙げる企業は出てくるはず」と答えた。
 しかし、1年後の今も運営企業は現れず、五輪公園は閑散としている。トレーニングや同州内の試合会場として使われている施設はあるが、五輪後に五輪公園で行われた世界規模の大会は、今年5月にテニス会場で行われたビーチバレー世界大会のみだ。
 同公園内の自転車競技場は7月30日、バルーン落下が原因と見られる火災で屋根の一部が焼け落ちた。ハンドボール場は五輪後に解体し、その資材を学校建設にあてる予定だったが、1年経った今も、リオ市は予算不足を理由に実行していない。
 一方、連邦政府が今年4月に暫定令を出して設立した五輪遺産管理担当局(AGLO)は、政府管轄下の九つの施設の管理を担当している。AGLOのパウロ・メッロ局長は4日に、五輪の柔道やパラリンピックのボッチャの会場になったアレーナ・カリオカ2を11月までに改修し、多種目トレーニングセンターにすると発表している。
 リオ市北西部デオドーロ地区にカヌー会場として作られた人工水路は、昨年12月に閉鎖されたままで、水路には汚れた水が溜まっている。
 「『放棄された施設』をちゃんとした『五輪遺産』にしていかなくてはならない」と、リオ市議会スポーツ・レジャー委員会のフェリペ・ミシェル委員長は語る。
 大会後は経済的苦境に陥っている選手たちも多い。それはメダルを獲得するほどの活躍を見せた選手も例外ではない。
 女子柔道金メダルのラファエラ・シウヴァは、「大会の前と後では、確かに環境は変わったけれど、支援してくれるのは結果を出した時だけ」と語り、柔道界全体への継続的支援が行われていない現状を嘆いた。
 カヌーで銀2銅1と、ブラジル人初の同一大会で3個のメダル獲得を達成したイザキアス・ケイロスも、「競技を続け、結果を出し続けていくためにも、スポンサーがもっと出てきてくれることを期待していたけれど、(現状を嘆いて)泣いている訳にはいかない」と語った。
 現地紙は、選手たちの嘆きの声と共に、このままでは次の2020年東京五輪のための強化や準備が心配されると結んでいる。