家庭内暴力などを防ぐためのマリア・ダ・ペーニャ法(法令11340/06号、以下MP法)裁可から満11年となったが、女性への暴力は後を絶たないと7日付現地紙サイトなどが報じた。
06年8月7日にルーラ元大統領が裁可したMP法は、妻や女性への肉体的、精神的な暴力行為を罪とし、厳罰を科す事で、家庭内暴力などを防止しようとするもので、同年9月22日に発効となった。同法適用第1号は発効翌日の9月23日で、別れた妻を絞殺しようとしたリオ州の男性が逮捕された。
連邦政府女性政策局によると、ブラジルでは女性の5人に1人が家庭内暴力の被害に遭っており、夫や前夫が加害者という例が8割を占めているという。
リオ州治安研究所(ISP)が7日に発表した白書によれば、16年第4四半期に同州で殺された女性の15・5%(16人)は、女性であるが故に犠牲となった。女性に対する殺人未遂事件でも、27・3%(42人)は女性である故に狙われたという。
また、16年10~12月に同州で起きた強姦事件の39・8%は被害者と何らかの関係がある人物によるもので、夫や恋人(元夫や元恋人も含む)による例も8・9%あった。また、被害者の55・5%は、14歳未満の少女だった。
女性に対する傷害事件の69・7%は被害者と近しい関係にあった人物によるもので、夫や元夫による例は52%に上った。同種の事件の61%は被害者または加害者の自宅で起きている。
また、16年中は、セクシャルハラスメントが126件、公的な場所での痴漢行為は588件起きた。これらの事件は被害者の心に深い傷を残すが、告発する勇気がなくて被害者が泣き寝入りする例も多い。
同州では、今年上半期も既に37人の女性が殺され、119人が殺されそうになっている。リオ市ソブラジーニョにある女性組織は、家庭内暴力に30年間悩まされた女性が創設したもので、被害に遭った女性の保護や精神的なケアなどのサービスを提供している。
全国的に見た女性への暴力行為告発は、07年の879件(年間)が、今年上半期には1万2794件と激増中だが、この数字は氷山の一角に過ぎない。告発数増加は、MP法やそれに伴う女性専門の警察署設置などの努力の結実だ。