サンパウロ市のジョアン・ドリア市長(民主社会党・PMDB)は7日夜、北東部のバイーア州州都サルバドール市のイベントに参加する前に、同市の左翼団体から卵の集中砲火を浴びる被害を受けた。
ドリア市長はサルバドールの名誉市民に選ばれ、タイトルを受け取るために同市を訪れていた。式典の前には同市市役所でACMネット市長(民主党・DEM)とも会談した。
だが、市役所を出て、市議会に向かう際、ドリア氏は、一般市民から卵の集中砲火を受けた。警備隊はこの事態を事前に予想し、被害を防ぐための傘も用意していたが、卵は容赦なく降り注ぎ、ドリア氏とACMネット氏はどちらも卵まみれとなった。
卵をぶつけた主は、左翼の労働者党(PT)支持者だが、これには因縁があった。
サンパウロの富豪出身のドリア氏は、今年1月にサンパウロ市長に就任して以来、世論調査で大統領選候補の首位を走るルーラ氏を徹底して罵ってきた。それはPSDBとPTの数十年来に及ぶライバル関係もさることながら、ルーラ氏が収賄疑惑で10年の実刑判決を受けながらも無実を主張し続け、来年の大統領選にも出馬しそうな勢いであるためだ。
だが、そうした主張が、とりわけPT支持基盤が強いといわれる北東部のバイーア州民の気に障った。また、ACMネット氏の祖父、アントニオ・カルロス・マガリャンエス氏は軍政時代の大物政治家で、同氏一家は保守の象徴。そうしたことで、ルーラ支持者にしてみれば憎さが増大したこととなった。
ドリア氏は卵を洗い流した後、「これは我々がブラジルのために望んでいるやり方ではない。これはルーラ式のやり方であり、PTや左派のやり方だ」と言ってこの行為を強く非難した上、「そんなに右派や保守派が嫌いなら、ベネズエラのマドゥーロ政権を擁護し、あっちで卵を投げていればいい」と息巻いた。
PTは、現在世界的に問題視されているマドゥーロ独裁政権を支持する声明を出している。
ACMネット氏もこれに続き、「こんなやり方は民主主義に反する暴虐行為に過ぎない」と批判し、このような事件の背景にはルイ・コスタ・バイア州知事がいるとの見解を示した。コスタ氏はPTの政治家で、ACMネット氏は来年の知事選で同氏と戦うことが予想されている。
ドリア市は高い人気で来年の大統領選出馬を気合されてもいるが、同氏の後見人であるサンパウロ州知事のジェラウド・アウキミン氏が出馬を希望しているために、その応援に回るとの見方が有力視されていた。
だが、この日の昼、ドリア氏はテメル大統領と会談し、サンパウロ市への支援を要請した上、サンパウロ市でのイベントでも、テメル氏や民主運動党(PMDB)に接近する姿勢を強く出した。
一部ではそのために、「もしかして、大統領への色気も?」とささやかれはじめている。PMDBとドリア氏の関係が円熟すれば、宿敵・ルーラ氏との直接対決も起こり得るかもしれない。(8日付フォーリャ紙より)
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