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家事労働は女性の仕事?

 ひょんな事で、ブラジルでの労働時間の性差について振り返る機会を得た。この場合の「労働」には家事も含むが、昨年発表された14年の統計では、報酬付の仕事に費やす時間は、男性が週51・6時間、女性は56・4時間で、女性の方が5時間長かったが、給与は男性の75%。家事労働は、男性9・8時間、女性20・6時間で倍以上だった▼家電製品普及などで家事に要す時間は減ってきても、家事や育児の負担は女性にかかる事が多いが、家事も含めた労働時間は女性の方が長いと認識していない人も多い。昨年8月、「男性が医者に行かないのは仕事が忙しくて時間がないから」と公言したリカルド・バロス保健相も一例だ。先の統計を知る同相の娘は早速、「私達はお父さん同様、長時間働いている」「女性の労働時間は男性より長いのよ」と反論した。同相の妻はパラナ州副知事、娘は同州州議だ。コラム子は、長女が幼く、家で日本語を教えたりしていた頃、指圧師に「食事の時以外は立ちっぱなし」と言って驚かれた事がある。あの頃は本当に座っている暇もなかった▼だが、外食ばかりし、よれよれの服を着ている人が男性の場合は「しょうがないな」「結婚すれば」「奥さんは何もしないの」と言われるのが関の山だが、女性の場合は「女の癖に」「だらしない」などと言われ、本来持っている能力を疑われる事さえある▼女性が社長になってから賃金格差をなくした会社もあるし、「家事を手伝ったが一言のお礼もなかった」と言う友人を、「自分が汚した服や食器を洗い、自分の子供の世話をするのは当たり前」とたしなめる男性のビデオも見た。皆の意識が変わり、格差がなくなるのはいつの日か。(み)