ブラジル労務省は9日、全就労・失業者台帳(Caged)のデータを基に、7月は正規雇用が3万5900人分増加したと発表したと、10日付現地各紙が報じた。
毎年7月は雇用が生まれにくい傾向があるにも関わらず、正規雇用が増えたことは、経済関係者たちを驚かせている。また、最近の正規雇用の増加は農業部門に限られていたのに、7月は製造業、商業、サービス業、建設業でも正規雇用の増加が起き、雇用増加が全体的な広がりを見せ始めたことが確認された。雇用増が最も大きかったのは、製造業の+1万2594人だった。
ロナウド・ノゲイラ労相は、「最悪の時は過ぎた。8月も良い数値が出ると確信している。少なくとも11月まではマイナス数値が出る事はないだろう」と語った。
Cagedの月次発表は通常、翌月の15日以降に行われるが、少しでも現政権にポジティブな印象を国民や議会、金融市場に与えたい政府がそれを早めたため、9日の発表となった。
テンデンシアス・コンスウトリアのチアゴ・シャヴィエル氏は、「最も注目すべき点は、雇用の改善が、農業以外の部門でも起きたこと。経済好転の影響が労働市場に出ている」と語った。
7月は、テメル大統領への告発受け入れを巡る政治の混乱(実際の下院投票は8月2日)が起きたにも関わらず、労働市場は、インフレ抑制や金利の低下などの追い風を受けて好結果を出した。シャビエル氏は「労働市場は、(政治への不安よりも)経済の躍動感に結びついて反応した」とした。
上半期総計で見ると、正規雇用は全国で6万7358人分増えた。上半期の正規雇用増は3年ぶりのことだ。州別に見ると、全26州の内、14州で正規雇用が増加したが、ブラジリア(連邦直轄区)では減少した。
正規雇用増を記録した州は14州で、その大半は南東部や南部、中西部(南麻州やゴイアス州)などのブラジルの中/南部に集中しており、「中/南部と、北部/北東部間には、まだはっきり温度差がある」と語る経済専門家もいる。
また、今年上半期の雇用増は、最後に増加を記録した14年の上半期の1割ほどに過ぎず、14年の下半期から、15、16年にかけて失われた正規雇用の回復の端緒に着いたに過ぎない。
サンパウロ総合大学(USP)のエリオ・ズィウベルスタイン教授は、「正規雇用が下げ止まり、回復の兆しが見えただけでも素晴らしい知らせだ」と語っている。