ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》「民主主義尊重されず」が86%=最新の意識調査で政治不信克明に=「政党よりシステムの問題」=「国民の過剰な理想」も問題か

《ブラジル》「民主主義尊重されず」が86%=最新の意識調査で政治不信克明に=「政党よりシステムの問題」=「国民の過剰な理想」も問題か

 13日付現地紙が掲載したアンケート調査の結果によると、ブラジル人の86%は「ブラジルでは民主主義が尊重されていない」と感じており、47%は「現在のブラジルの民主主義のあり方は、ブラジルにとって最良の形とは思えない」と答えていることがわかった。

 これは調査団体のIPSOS社が行った、大統領選を約1年後に控えた段階でのブラジル人の政治意識調査の結果だ。
 それによると、「現職の政治家たちはブラジル社会や国民の声を代表しているか?」との質問には、実に94%が「いいえ」と答えたという。
 同団体は16年11月以降、同じ質問を4回繰り返しているが、初回調査での「いいえ」は85%で、その後は徐々に増している。ジウマ政権でもラヴァ・ジャット作戦による政治不信が高まりはじめていたが、テメル政権移行後の印象は更に悪化したといえる。
 また、「あなたが選んだ政治家はあなたの意見を代弁しているか」には、86%が「いいえ」と答えた。この数字も、昨年11月の74%より増えている。
 国民からの不信感が特に強かった質問は「ブラジルでは法の下に皆が平等か」で、84%が「いいえ」と答えた(「法の下では皆が平等であるべきだ」と考える人は96%いた)。「金も盗むが仕事もする政治家や政党の方が価値がある」には74%が「いいえ」と答えたが、「政治家の汚職はそういう政治家を選んだ国民の責任だ」に「いいえ」と答えた人は52%のみだった。
 一方、「わが国の問題は具体的な政党の問題ではなく、政治システムの問題だ」には81%が同意。「問題が生じた時は皆が一つになるべきで、政党同志で争うべきではない」「どの政党がよいかで争うことは真の問題は何かの論議を妨げる」にも88%と84%が「はい」と答えた。
 また、「ブラジルの統治には民主主義が最適だと思うか」との問いには50%が同意したが、「いいえ」も33%いた。
 いみじくも、最近の大統領選の世論調査では、左派・労働者党(PT)のルーラ氏が圧倒的1位だが、PTはベネズエラのマドゥーロ独裁政権を支持する声明を出し、2位のジャイール・ボルソナロ氏は軍隊出身の極右路線でも知られている。
 今回のIPSOSのアンケートに関し、サンパウロ総合大学(USP)のジョゼ・アルヴァロ・モイゼス教授は、「国民の多くは、もっと国民の声や必要に寄り添い、国民を代表してくれる政治家を選び、そのそばにいることを望んでいる」「国民は政治家が自分達の関心だけにとらわれていると感じている」とし、国民の政治不信に理解を示している。
 他方、USPとジェツリオ・ヴァルガス財団で教鞭をとるウンベルト・ダンタス教授は、「政治不信が高まりすぎて、民主主義を『完全なる自由を獲得する』ことだと履き違えている人たちもいる」と警鐘も鳴らした。同教授は「公的権力の抑止と監視のためのシステムを創り、全ての国民が自国の政治に責任を負うことと、完全な自由とは違う」と啓発している。