【既報関連】ベネズエラのマドゥーロ大統領が、7月末に制憲議会選挙を強行し、自らの独裁体制強化を図る中、南米共同市場(メルコスル)が同国の参加資格停止を宣言するなど、近隣諸国の反発も高まっている。
そんな中、米国のドナルド・トランプ大統領が11日に、「ベネズエラへの軍事介入の選択肢を捨てていない」と発言し、マドゥーロ体制反対派のベネズエラ国内野党勢力やラテンアメリカ諸国からも反発の声が上がっていると、12~14日付現地各紙・サイトが報じた。
トランプ大統領は11日、「ベネズエラでは多くの人々が苦しみ、命を奪われている。必要ならば、軍事介入の可能性も否定しない」と、米国政府高官や米国国連大使との会合の後に語った。
これに対し、ベネズエラのヴラディミール・ロペス国防相は、これを「狂気の沙汰」と強く非難し、米国政府を「世界を自分たちの思惑で動かせるとの考えを持つ、エリート諸国の頂点に立つ輩」と呼び、「もし本当に米国が攻撃を仕掛けて来るならば、国を防衛する」と語った。
ブラジル外務省筋も、トランプ大統領の発言直後に、「ベネズエラ問題は対話を通じて、平和的に解決されなければならない」との立場を表明した。
これは8日にペルーのリマで行われ、ベネズエラのメルコスルへの参加資格停止を決定した会議の後に出された宣言と立場を同じくするものだ。
同宣言には、「国際法と内政不干渉の原則の完全なる遵守の下に、(ベネズエラ安定化のための)交渉を支持する」と記されている。
米国のマイク・ペンス副大統領は、トランプ大統領の発言の余波の火消しのため、コロンビア、アルゼンチン、チリ、パナマ訪問の旅に出て、13日には最初の訪問地コロンビアでサントス大統領と会談を行った。そこで同副大統領は、「独裁主義の台頭は許されないが、トランプ大統領も今は、全てのラテンアメリカ諸国と連帯すれば平和的解決がもたらされると信じるに至っている」と語った。
それに対し、コロンビアのサントス大統領は、「軍事介入という考えは微塵ほども許されるべきではなく、『選択肢を捨ててはいない』という言葉さえ行き過ぎ」と2日前のトランプ大統領の言葉に釘をさした。
ただ、ベネズエラの混乱は終息の気配を見せておらず、13日も、同国の諜報当局が、政府への武力攻撃の首謀者として18人を拘束した上、国外在住者5人を含む23人の行方を追っていると発表した。
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