ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》JBS社の報奨付供述に隠匿有り?=不正融資疑惑で追徴10億レアル=社のイメージ低化避けられず=第2四半期決算で利益8割減

《ブラジル》JBS社の報奨付供述に隠匿有り?=不正融資疑惑で追徴10億レアル=社のイメージ低化避けられず=第2四半期決算で利益8割減

9日にサンパウロ州連警に出頭した際のジョエズレイ・バチスタ氏(Rovena Rosa/Agência Brasil)

9日にサンパウロ州連警に出頭した際のジョエズレイ・バチスタ氏(Rovena Rosa/Agência Brasil)

 【既報関連】ジョエズレイ・バチスタ氏と、同氏が社主を務め、食肉大手のJBSなどを所有するJ&Fインヴェスチメントス社(J&F)の幹部たちが、報奨付供述の際に隠し事をしていたことを、14日に連邦検察庁のイヴァン・マルクス検事が明かしたと、15日付現地紙が報じた。

 J&Fは食肉大手JBS社やエルドラードス・セルロース社などを保有している。ジョエズレイ・バチスタ氏らが隠していたとされる犯罪は、社会経済開発銀行(BNDES)からJBSへの不正融資に関する件だ。
 ジョエズレイ・バチスタ氏は、ロドリゴ・ジャノー連邦検察庁長官との司法取引で、テメル大統領も関与したとされる犯罪に関する情報を提供した報奨として、刑事罰不問を獲得している。
 しかし、マルクス検事は、JBSがBNDESから不正融資を受けたことで国庫に与えた損害の賠償として、10億レアル以上の追徴金を求める訴えを起こす意向だ。
 「ジョエズレイ、ウェズレイのバチスタ兄弟らは、BNDES関連犯罪を隠匿した。連警は5月のブリッシュ作戦に関する捜査で、BNDESがJBSに行った融資での不正を突き止めた。しかし、バチスタ兄弟やJ&F幹部らは調査に協力しない」とマルクス検事は報道陣に語っている。
 バチスタ兄弟らが、テメル大統領との会話の隠し録音データと共に、同大統領の収賄、司法妨害、犯罪組織形成疑惑に関する情報を検察に提供していた事は5月17日に発覚(JBSショック)し、翌日には司法取引成立も報じられた。
 マルクス検事は、「私には、『報奨付供述に隠し事があった。彼らが検察に明かしてない犯罪行為(BNDESからの不正融資受け取り)に手を染めていた証拠があり、告訴する』と言うことしかできない」と語った。
 14日は、JBSショック後初の決算報告である、第2四半期の会計報告も公開された。
 同社は、今年3月にカルネ・フラッカ作戦で発覚した食肉品質偽装疑惑で10カ所の屠畜所に操業停止命令が出た他、ブリッシュ作戦などの各種作戦で疑惑が噴出。JBSショックで著しくイメージが低化したことと業績悪化で、第2四半期の利益は、前年同期の15億レアルからほぼ8割減の3億980万レアルだった。
 ドル安も同社には痛手で、今年第2四半期の純売り上げは、昨年比4・6%ダウンの416億レアルだった。
 JBS社が先週発表した通り、この会計報告は正式な監査を受けていない。その理由は、第三者機関による独立した監査は、JBS社が検察庁と結んだ、企業版の報奨付供述である「レニエンシア」の内容に関わってくるからだ。合意内容は現在、司法側の承認待ちで、内容は非公開だ。
 JBSは、レニエンシアによる罰金の支払いは25年間分割の103億レアルで、支払い義務はJBSを所有するJ&Fにのみ帰するとしている。