下院政治改革委員会の報告官、ヴィセンテ・カンジド下議〈労働者党・PT〉が15日に提示した改正案の内容には、隠し献金の復活や世論調査の制限などが含まれており、問題があると、16日付フォーリャ紙が報じている。
カンジド氏は以前も、「候補者は選挙前8カ月以降は逮捕されない」との提案を行って物議をかもした。この提案は、1審で実刑判決を受けて控訴したが、2審でも有罪だったらフィッシャ・リンパ法適用で大統領選に出馬できなくなる可能性があるルーラ元大統領に有利になる。
今回の同氏の提案は、個人献金の匿名性強化と献金限度額の大幅な引き上げを含んでいる。
ラヴァ・ジャット作戦での贈収賄工作への反省から、最高裁は2015年に企業献金を禁止。これにより、候補者本人への献金は個人献金のみとなったが、カンジド氏の提案は、選挙健全化に向けた個人献金への制限をなし崩しにしかねない。
同氏が行った提案では献金者は当局以外には名前を伏せるように要請でき、実質的に「すべて匿名」が可能になる。現行法では「最低給与の3倍以下の所得の人は匿名」にできる。
カンジド氏はこの提案は「一般市民のプライバシーを守るため」とし、さらに「納税者番号(CPF)があれば、個人情報は判明する」とも釈明した。
また、献金額の上限も、現行法での「前年の収入の10%、ないし最低賃金の10倍〈9370レアル〉」を、「最低賃金の50倍〈4万6859レアル〉」まで引き上げている。
匿名になった上、限度額が大幅に引き上げられれば、ラヴァ・ジャットの際に話題となったカイシャ2〈隠し口座〉と実質的に同じものになりかねない。
カンジド氏はさらに、選挙の世論調査にも制限を与えようとしている。世論調査の結果発表は選挙当日まで許可されているが、「選挙の前の日曜からは発表禁止」とした。選挙直前の世論調査は、国民にとって最も大きな投票の目安だ。
さらに、従来の世論調査は5日後に発表できるが、発表を10日後までに伸ばすなどの提案も行っている。これらの制限は「公表の自由」に抵触する可能性がある。
一方、上院では、憲法改正案として提案されている36億レアルにも及ぶ選挙基金ファンドが不評なため、企業献金を復活させることについても議論をはじめている。