連邦高等裁判所は15日、来年の大統領選出馬を狙うジャイール・ボルソナロ下議(キリスト教社会党・PSC)に対し、14年12月に議会で発した問題発言に関する上告を却下し、慰謝料の支払を命じた。16日付現地紙が報じている。
ボルソナロ氏は14年12月9日の下院本会議で、マリア・デ・ロザリオ下議(労働者党・PT)が軍事政権での犯罪行為を真相究明委員会で調査するよう発言していたのをさえぎり、軍政肯定派の立場からそれを否定した上で、その数年前に両氏が下院の廊下で喧嘩したときに発した「レイプの価値さえない女」という発言を繰り返して行った。
この件でボルソナロ氏はロザリオ氏から名誉毀損罪で訴えられ、15年に罰金1万レアルの判決を受けていた。
ボルソナロ氏は連邦直轄区地裁に控訴したが敗訴。その後、高等裁に上告したが、今回、高等裁第3小法廷の出席判事4人が全員一致でボルソナロ氏の訴状を却下した。
ボルソナロ氏はこれで、複数の判事による裁判で有罪になったことになる。2審まで有罪なら選挙に出馬できないというフィッシャ・リンパ法の規定は、汚職事件などの刑事裁判が対象で、名誉毀損などの道徳上の犯罪は対象外となる。このため、この件ではボルソナロ氏の大統領選出馬は無効とはならない。
なお、同下議は16年に強姦扇動罪で最高裁に訴えられ、被告となっている。