昨年11月に平和資料館を焼失したサンタカタリーナ州フレイ・ロジェリオ市のラーモス移住地に、朗報が届いた。長崎市が同館再建を支援することが正式に決まったという。決定を通知するためにラーモス移住地を訪問したブラジル・日本「平和の絆」交流会の石橋朋子さんと長崎放送の寄川淑子さんが来社し、現在の状況について話した。
今回の決定は、今年2月にラーモス移住地で平和資料館再建委員会(小川アデマール和郎委員長)が発足されたのを受けたもの。石橋さんと寄川さんは8日、田上富久長崎市市長からの再建支援についての文書をフレイ・ロジェリオ市のジャイル・ダ・シルバ・ヒベイロ市長に手渡した。
石橋さんは「皆が一体となって再建を目指している。資料館があった場所では現在瓦礫の撤去が行なわれていて、再建の目処はまだ立っていないけれど、支援の決定は大きな一歩」と話した。
9日には歌手の井上祐見さんが日本から駆けつけ、同州クリチバノス市で再建支援チャリティーコンサートを行ない、100人以上が集まった。
寄川さんは同移住地と長崎市の交流について、「長崎放送では毎年8月9日(長崎原爆の日)にラジオの特集番組を放送していて、去年はブラジルの子供たちからのメッセージを流しました。今回の訪問では井上祐見さんらと一緒に、長崎の中学生がハンドベルを演奏している映像のDVDや平和メッセージなどを同移住地に寄贈した。日伯間の交流が続いていて平和教育の一環になっている」と報告した。
平和資料館は2010年5月14日に落成。「ラーモス移住地原爆被爆者子孫の会」会長だった故・小川和己さん(12年、83歳没)が中心となって建設した。当地初の平和資料館で、長崎市寄贈の写真パネル80点を展示していた。
15年12月12日には「ナガサキ誓いの火」分灯セレモニーが行われた。井上祐見さん、息子笠戸丸ともやす君、ブラジル・日本「平和の絆」交流会の中嶋代表が長崎市から運んだ。長崎の平和公園の「誓いの火」から逐電装置を使って電気エネルギーとして移し替え、着伯後に「火」に戻したもの。海外はこれが初めてだった。
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ラーモス移住地の平和資料館が焼失したのは昨年11月22日。館内の蜂を駆除するために、作業員が火を使用したのが原因となった。戦争や原爆に関する多くの展示物を失ったが、長崎県国際親善協会寄贈の「平和の鐘」は持ち出すことができた。「ナガサキ誓いの火」は充電池の一部が別の場所に保管されていたため、再建時にも問題なく点火できるという。再建への道には困難が待ち構えていそうだが、長崎市の好意、井上祐見さんの歌の後押しで弾みがつきそう?!