【既報関連】今年から2020年にかけての政府の基礎的財政収支目標が赤字幅拡大の方向に変更されたため、1999年のカルドーゾ政権時代から積み重ねてきた財政黒字が2020年で全て吐き出されると17日付現地各紙が報じた。
ブラジルは1999年から2013年までの15年間にわたって基礎的財政収支で黒字を計上し続け、その総額は8016億レアルに達していた。社会保障費では赤字が出ていたものの、国庫、中銀会計の黒字でカバーできていたため、全体での黒字計上は15年間続いていた。
しかし、ジウマ前大統領(労働者党・PT)が再選された2014年からは赤字になり始め、2016年までの3年間で、累積2966億レアルの赤字が出た。
政府が変更した財政目標では2020年まで赤字が続き、14年から20年までの7年間の累積赤字は8186億レアルになってしまう。
テンデンシアス・コンスウトリアのファビオ・クレイン氏は、「失政により、これまでの努力の結果が損なわれてしまった。これを修正するには時間がかかる」とした。
政府は昨年、歳出上限法を制定するなどして支出抑制に努めているが、クレイン氏は、税収などの収入が見込みを下回る事があるので、支出を抑えるだけでは不十分だとしている。
16年の基礎的財政収支は1594億7千万レアルの赤字を計上した。政府はこの数字を基に、今年と来年の財政目標を赤字上限1590億レアルに変更した。それでも、この「下げたハードル」を跳ぶためには、今年から来年にかけて、計336億レアル分の、収入増、支出削減の政策実施が必要だ。
しかし、大統領令だけで実行できるのは、26億レアルの収入増が見込まれる、輸出企業への税金還元法(レインテグラ)の貸付率引き上げのみで、他は全て、議会の承認が必要だ。
ジオゴ・オリヴェイラ企画相は、諸政策への各議員の反応は既に内々で調べがついており、承認のため、充分な支持を得ているとして、議会通過に自信を見せている。
しかし、財政目標の見直しの手続きを行う両院合同予算委(CMO)内には、7月に承認された18年連邦予算基本法(LDO)の各項目を、テメル大統領が相次いで拒否したことを根に持つ議員がいる。
「政府の傲慢さは、それ自体が失敗の証明だ。配慮を欠いた態度が、不必要な対立を引き起こしている」と言うのは、テメル大統領と同じ民主運動党(PMDB)のダリオ・ベルゲル上議だ。
政府の経済政策チームは、政府の収入を少しでも増やすため、空港や鉄道などの民営化計画に、利用者数では国内第2のサンパウロ市コンゴーニャス空港を加えることを決めた。同空港の運営権委譲に伴う保証金は40億レアルが見込まれているが、民営化に関する最終判断は、24日の官民投資計画局の会合に委ねられている。