ブラジル連邦最高裁長官で、国家法務審議会(CNJ)議長のカルメン・ルシア判事が18日、全国の裁判所に、10日以内に判事に支払われている給与の詳細に関するデータをCNJへ提出するよう命じたと、19日付現地各紙が報じた。
官報によると、各裁判所は、今年1月から8月までの判事への支払いの明細を、給与分と手当その他の特別支給分に分けて報告するよう命じられた。また、9月からは、判事への支払いが発生してから5日以内に明細のコピーをCNJに送るよう、義務付けられた。
給与データの公開命令が出された背景には、マット・グロッソ州シノプ市第6法廷のミルコ・ジャノッテ判事が7月に手取り41万5693・02レ、所得税など込みでは50万3928・79レを受け取ったと14日付地元紙が暴露した事実がある。
憲法には、公務員の給与は、最高裁判事の給与を最高額とし、これを超えてはならないと定められている。現在の最高裁判事の給与は月額3万3700レアルだ。18日にマット・グロッソ州裁判所が提出した書類によると、同州では7月に、84人の判事が10万レアル以上の報酬を受け取っていたという。
同州地裁のルイ・ラモス長官は、「支払いの正当性を示す書類は全てCNJに送った」と言う。CNJが支払いの正当性の有無を分析した結果、正当性なしと判断した場合、同州判事らは返金しなくてはならない。
マット・グロッソ州地裁によると、過剰支払いの疑いを持たれたのは、2004年から09年にかけての各判事への負債支払い分だという。ミルコ・ジャノッテ判事も取材に対し、「事が明るみになって以来、むしろ励ましのメッセージを数多く受け取った。あの金額は、以前受け取れなかった分を返してもらっているだけ」と述べた。
現在も各裁判所は判事への支払状況を公開しているが、給与のみ公開している裁判所もあるし、給与額や諸手当の明細がない例もある。「今後は、各司法機関の予算が規則正しく統制できるように、給与、諸手当を区別した情報を国民や監査機関に公開する」とCNJ議長の命令書には書かれている。
ロベルト・ヴェローゾ連邦判事協会会長は「これはとても重要な施策。地方判事の報酬を制御する施策をCNJが打ち出すのを待っていた」と、今回の命令を支持した。
最高裁は先週、現在の財政危機を鑑み、8対3で来年の給与調整見送りを決めた。その際も、サンパウロ州判事約300人が7~8万レアルを受け取っていると報告されていた。
カルメン・ルシアCNJ議長は、16日にCNJ監査官とも会合を開いた上で今回のCNJの会議に臨んだという。