ベネズエラの制憲議会は18日、同国議会から立法権を奪うことを宣言した。これでマドゥーロ大統領の独裁状態が決定的になった。19~21日付伯字紙が報じている。
この決定は、同国の議会が制憲議会から提案されていた、「交渉の席に着く」ことを拒否し続けたことへの制裁処分として行われた。
野党が全体の3分の2を占める議会は、制憲議会の発足を認めず、7月30日に行われた、マドゥーロ氏の肉親や旧閣僚が多く候補に名を連ねた議員選挙も無効との主張してきた。今回の宣言に関しても、無効とする旨を貫いている。
同国議会は、15年12月の選挙で野党が優勢となったが、今年1月には、大統領側から選出された判事が大半を占める最高裁が立法権を剥奪する命令を出した上に、3月には最高裁が立法権を担うという決定も下された。それに伴って、4月1日以降、反政府派による抗議運動が激化し、抗議行動参加者100人以上が死亡する事態に発展した。
だが、政府側は議会に対し、「国民の暴力行為を過熱させ、米国と裏で手を組んだ」と批難し、制憲議会開設への引き金となった。
議会側は制憲議会の存在を認めない形で抵抗を続けているが、反政府派の国民は、マドゥーロ政権から権限を奪うべく野党側に投票したのに、野党が主導する議会が誕生して、大統領から権限を奪う準備が前進したと思われたにも関わらず、実際の議会はマドゥーロ政権に対して無力なままという現状を見、国の将来に失望する声が高まっているという。
また、マドゥーロ大統領を告発しようとした同国検察庁のルイーザ・オルテガ元長官と、夫のヘルマン・フェレール氏の2人は現在、コロンビアのボゴタに亡命中だ。ルイーザ氏は亡命先から、ラヴァ・ジャット作戦における贈収賄工作の中心となったオデブレヒト社が、マドゥーロ政権での汚職にも絡んでいると指摘している。