「ブラジル・サッカー界の次世代の怪童」こと、ヴィニシウス・ジュニオール(17、フラメンゴ)が、19日に行われた全国選手権の試合で一挙2得点を叩き出し、待望の初得点を挙げた。
U17の南米予選では、7得点という圧倒的な得点数でブラジルの優勝に貢献。その実績ゆえに、世界有数の強豪、レアル・マドリッドとの間では、4500万ユーロという破格の契約金で18歳以降の契約が結ばれているヴィニシウス。当然、その期待値は高く、17歳の誕生日を迎える7月12日を待たず、16歳から既にフラメンゴとプロ契約。大人たちに混じって、5月から全国選手権1部の試合に出場していた。
6月からは先発出場も増え、アシストも一つ取っていた。だが、期待されていた得点が取れずに批判された上、上位入りを宿命付けられている人気チームのフラメンゴゆえに、実績のある移籍選手獲得が続いたことなどもあって、7月は先発出場漏れが増えた。試合によってはベンチから外れることもあった。「期待はずれか?」などとも評された。
だが10日に行われたスダメリカーナ杯の対パレストリアン(チリ)戦で、途中出場ながら、試合終盤にプロ入り初得点を決めて、調子が上向きになった。その調子のままで迎えたのが、19日の全国選手権21節だった。
フラメンゴはこの日、24日に行われるブラジル杯準決勝に主力を温存したため、ヴィニシウスに先発のチャンスが回ってきた。守備位置は得意の左ウイングだ。この日は前半から、いつになく積極的にゴールを狙うヴィニシウスの姿が見られていた。
そして後半11分、マルシオ・アラウージョが長いスルー・パスを出すのを見たヴィニシウスは、快足を飛ばし、相手ディフェンダーを後ろから抜き去ってボールを奪うと、短いドリブルから強いシュートを決め、全国選手権での初得点を決めた。ヴィニシウスは、ようやくの初得点に喜ぶ観客に向け、サンバ風のダンスを踊って、陽気におどけた。
そして後半30分、今度はカウンターでのフラメンゴの反撃で、ボールを受けたヴィニシウスが1人で独走状態となり、キーパーとの一騎打ちも快足で抜き去り、2点目を決めた。
この2得点で、これまではヴィニシウスに懐疑的だった報道関係者やファンも、一転して絶賛をしはじめた。中には、フラメンゴの伝説的選手でもあるロマーリオが93年にW杯南米予選のウルグアイ戦で決めた、伝説の快速ゴールと比較するテレビの評論家まで現れた。
この興奮はブラジルのみならず、ヴィニシウスを待つスペインのメディアにも伝わり、マルカ紙などは「17歳にしてこのスピードと決定力」と絶賛した。
フラメンゴではこれまで、攻撃陣にペルー代表フォワードのゲレーロや、セレソンにも選ばれた経験のあるディエゴ、エーベルトン・リベイロなど、実績のある選手が多いため、ヴィニシウスは彼らの影に隠れがちだった。だが、前監督のゼー・リカルド氏が解任され、監督が交代したことも追い風となっている。
ヴィニシウスのマネージメントを務めるフレデリコ・ペーナ氏は「彼がフルミネンセやボタフォゴにいたら、もうエース・ストライカーだったよ」と語っている。(22日付ESPNサイトなどより)
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