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ブラジル政府=電力公社エレトロブラスの民営化発表=株式指数は6年以上なかった高値に=株式売却で財政を健全化?=電気代値下げの可能性も

ブラジル最大の発電量を誇るイタイプダム(参考画像Alexandre Marchetti/ItaipuBinacional)

ブラジル最大の発電量を誇るイタイプダム(参考画像Alexandre Marchetti/ItaipuBinacional)

 【既報関連】ブラジル政府は21日、ラテン・アメリカ最大の電力会社で、フルナスなども傘下におくブラジル電力公社(エレトロブラス)の民営化を発表したと、22日付現地各紙が報じた。

 鉱山動力省は、政府が保有するエレトロブラスの株式の売却を、官民合同投資計画(PPI)審議会に諮る。政府側は、どの程度の所有株式を売却するかに関する明言を避けた。また、拒否権付きの株式(黄金株)は今後も所有し、エレトロブラスの経営には関与し続ける意向だ。
 サンパウロ市株式市場で公開されているエレトロブラス社株の時価総額(21日取引終了時点)は200億レアルで、政府の持ち分は120億レアルだ。政府関係者は「それよりもっと、収益を上げられる」と自信を見せている。
 鉱動省は、エレトロブラスの経営体質は非効率で、巨額の損失を国庫に与えているとし、これらの損失分は本来、より優先すべき分野に投じる事が出来たはずだったとしている。
 モレイラ・フランコ大統領府秘書室長は、民営化は、ただ株を売って、国庫を潤わせるためではなく、エレトロブラスの生産性を高め、電力コストを下げるために行うのだとした。鉱動省も、「民営化はエレトロブラスの競争力を高め、経営判断から実行までの過程を迅速化する」と発表している。
 売却されるのはエレトロブラスの子会社と、エレトロブラスが直接コントロールしている配電会社に留まる。売却益は政府、エレトロブラス、消費者の間で分けられ、一般消費者の電気代が、この売却で下がる可能性もある。
 フェルナンド・ベゼーラ鉱山動力相は22日の午前中、ブラジルとパラグアイが共同で運営しているイタイプダムと、原子力発電部門の関連会社、エレトロヌクレアル社は、民営化計画には含まれない事を発表した。
 エレトロブラス民営化のニュースは、電力関係の専門家たちには好感を持って受け止められた。リオ州連邦大学のニヴァウジ・デ・カストロ教授は、「現在は巨大公社で電力政策を動かしていく時代ではない。今後の国の電力政策は民営化によって推進されていく。また、政府がいくら否定しても、民営化は、政府が財務バランスを好転させるために、急いで資金を必要としていることの現れ」とした。
 エレトロブラス労働者組合(Aeel)は、民営化の知らせに驚きを隠せず、即座に反対運動を組織するとした。Aeel幹部のエマヌエル・メンデス氏は「政府は全て民間に売り払おうとしているが、我々は断固反対する」と語った。
 なお、民営化発表直後の22日、サンパウロ市株式市場ではエレトロブラス株が大きく買われた。午後1時45分現在の通常株(ELET3)は前日比49・8%高で、それにつられてサンパウロ市株式市場指数(Ivobespa)も前日比2・18%高の7万129ポイントをつけた。
 Ivobespaが7万ポイントを付けるのは2011年1月以来、6年7カ月ぶりのことだ。