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リオ州=軍警治安維持駐留部隊の3千人を配置換え=リオ大都市圏警備を優先=治安維持駐留部隊政策の転換点か?

リオ市の東隣、ニテロイ市に展開する軍警の部隊(Tânia Rêgo/Agência Brasil)

リオ市の東隣、ニテロイ市に展開する軍警の部隊(Tânia Rêgo/Agência Brasil)

 リオ州のロベルト・サー保安局長は22日、同州内の軍警治安維持駐留部隊(UPP)の人員の約3分の1にあたる3千人を、リオ大都市圏の巡回警備に再編成すると発表した。23日付現地各紙が報じている。
 2008年、セルジオ・カブラウ知事の時代に始まったUPPは、設置当初は一定の成果を上げていたが、近年はリオ州の財政悪化などで、弱体化していた。2011年の場合、UPP設置エリアでの警察と犯罪組織との間の銃撃戦も含む抗争は13件だったが、16年は1555件も発生している。
 犯罪発生率が一向に下がらず、スラム街での銃撃戦も頻発、州財政も芳しくない中、リオ州は08年のUPP創設以来、最大の方針転換を行う。
 リオ州はUPPの本質的な意義は何も変わらないとし、サー局長も、「配置換えされる人員は皆、内勤者で、38のUPPの機能は全てそのまま維持する」という。
 リオ州保安局によると、配置換えされる3千人の職員の大半は、UPP全体を管理したりする事務職だが、現場で武器管理などの任務に就いていた職員も、少数だが含まれているという。
 サー局長は、「UPPは終わらない。継続される。治安安定を願う民意に応え続ける。UPPは今後、各地区の軍警大隊と連携して保安活動を続ける。UPP人員の配置換えは、目的達成のための方法論の問題」とし、UPPの活動はこの配置換えで軍警大隊との連携が密になると強調した。
 ペーニャ複合スラムとアレモン複合スラム内8カ所のUPPは警察平和維持大隊を形成するが、他のUPPは各地区の軍警大隊に統合される。
 リオ州全体の暴力犯罪の85%は、リオ大都市圏に集中している。3千人は、1100人がリオ市内に、900人がリオ市の北側に広がるバイシャーダ・フルミネンセと呼ばれる地区の自治体に、550人がニテロイ、サンゴンサロ、イタボライの各市に、また、300人は高速道警備、150人は観光客対応の各大隊に配備される。
 UPP人員の配置換えは、軍警首脳のアイデアでもある。軍警は既に4千人の追加人員の選考を済ませているが、財政難のため、即座の採用に至っていない。
 「UPP再編成による3千人の増員はとても重要だ」と、ウォルネイ・ジアス軍警司令官も語る。同司令官によると、軍警は、退役、自主離隊、殉職などで、1日平均5人の人員を失っているという。