ホーム | 日系社会ニュース | 《ブラジル》長崎から原爆瓦を寄贈=井上祐見さん慈善公演

《ブラジル》長崎から原爆瓦を寄贈=井上祐見さん慈善公演

フレイ・ロジェリオ市市長に長崎市市長からの文書を手渡す井上祐見さん

フレイ・ロジェリオ市市長に長崎市市長からの文書を手渡す井上祐見さん

 15回目のブラジル訪問を果たした歌手の井上祐見さん(41、愛知県)、息子の笠戸丸ともやす君(9、神奈川県)、ブラジル・日本「平和の絆」交流会の代表、中嶋年張さんが16日に来社した。6日から11日間でサンタカタリーナ州フレイ・ロジェリオ市のラーモス移住地、サンパウロ州グァタパラ移住地、ピラール・ド・スルなどを訪問し、公演を行なった。
 ラーモス移住地では昨年11月に平和資料館が全焼した。同館は長崎で被爆した故小川和己さんが中心となって設立したブラジル初の平和資料館。15年12月には井上さん、息子の笠戸丸君、中嶋さんが長崎市から「ナガサキ誓いの火」運び、分灯セレモニーを行なっていた。
 今年2月に同地で再建委員会が発足したことを受け、長崎市が同館再建を支援することが正式に決まった。そのため井上さん、中嶋さん、石橋朋子さん、長崎放送の寄川淑子さんが8日、フレイ・ロジェリオ市市庁舎を訪問。田上富久長崎市市長から預かった再建支援についての文書と長崎被爆者が寄贈した原爆瓦をジャイル・ダ・シルバ・ヒベイロ市長に手渡した。原爆瓦は資料館再建の後、展示される。
 9日には井上さんが、同州クリチバノス市で再建支援チャリティーコンサートを行ない、100人以上が集まった。定番のオリジナル曲「ソウ・ジャポネーザ」など10曲ほどを歌った。井上さんは「まだ再建は始まったばかり。少しでも力になれればと思い歌った」と話した。
 井上さんはピラール・ド・スル文化体育協会で歌を披露したほか、同日本語学校で出身地の愛知名産「天むす」の作り方を同地の子供たちに教えた。さらに漫画「はだしのゲン」も寄贈。
 井上さんは「来年でブラジル初訪問から20年。これまで皆様にお世話になってので、これからお返ししていきたい」と抱負を語り、「来年の移民110周年にもぜひ来たいです」と微笑んだ。