【既報関連】ブラジル北部のパラー州で22日夜、北東部のバイーア州でも24日朝と、連続で発生した、ボート、定期船の沈没事故はブラジル社会に衝撃を与えている。
二つの事故の被害者の救助、捜索活動と、事故原因の調査に関する情報、また、過去10年で同様の事故が多発している現状を25日付現地各紙が報じた。
パラー州で沈没した船の所有者、アルシマール・ダ・シウヴァ氏は、24日に行われた事情聴取で、船に正確に何人乗っていたか把握していなかったと供述した。海軍は、沈没した船が提出した文書には、2人しか乗っていないと記録されていた事も明らかにしている。またダ・シウヴァ氏は、船は海軍の許可を得たルートよりもずっと長い距離を航行していた事も語った。
この事故では乗客、乗組員合せて何人乗っていたかが未だに不明だ。そのため、24日夜の時点で確認された死者の数は21人と各社の報道が一致しているが、行方不明者の数にはばらつきがある。25日朝のニュースサイトは、パラー州政府は、船には52人が乗っていて、死者21人、救助27人、行方不明4人の線で捜索活動を続けていると報じた。また、同日の捜索活動で、新たに2人(8歳位と見られる女児と、3歳位と見られる男児)の死体が発見され、死者23人、行方不明者2人に変更された。
また、24日の朝起きたバイーア州トードス・オス・サントス湾での定期船沈没事故は、25日朝の段階で、乗客・乗員合せて120人、18人の死亡が確認され、89人救出、13人が依然行方不明と報じられた。
24日午前6時半の出港時、沖は雨が強く、波も高かった。目的地サルバドール市のターミナルまでは40分の行程だったが、出港直後に2度、強い波の直撃を受け、転覆したという。
現地では25日朝の時点で、事故の発生したサルバドール市とヴェラ・クルス市を結ぶ定期船だけでなく、トードス・オス・サントス湾周遊観光船と、サルバドール市とモーロ・デ・サンパウロ市を結ぶ定期船も運航が停止されている。再開の見込みは立っていない。
保健省のデータによると、ブラジルでは2006年から15年までに、1289人が船の事故で命を落としているが、水難事故部門の専門家は、実際の数はより多いはずと警鐘を鳴らす。事実、海軍のデータでは、同じ期間の死者は2316人となっている。
地理統計院が先月発表したデータでは、ブラジル全体では、小型フェリーやモーターボートなどで自治体間を結ぶ航路便が1週間にのべ4500回出ている。パラー州、アマゾナス州などのブラジル北部では、自治体間の交通の98%が水運頼みとなっている。
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