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《ブラジル》法定アマゾンの保護区消滅=連邦政府の鉱物採掘許可で

 テメル大統領が21日に出し、23日付官報に掲載された大統領令により、アマパー州南部からパラー州にかけての銅・関連品国立保護区(Renca)の開発が許可され、批判の声が出ていると24、25日付現地紙やサイトが報じた。
 Rencaは銅や金、鉄、マンガンその他の鉱物資源が豊富で、1980年代の銅鉱脈発見と同時に軍が開発計画を立てたが、1984年2月24日にジョアン・フィゲイレド大統領(当時)が保護区に制定した。
 同保護区はエスピリトサント州とほぼ同じ230万ヘクタールを有し、域内には二つの先住民保護区もある。また、動植物の生態系保護や水資源保護の意味でも大切な地域の一つだが、その保護区指定が解除され、民間企業による鉱物資源採掘が許可された。大統領令では、「保護区の指定解除は、植生や自然形態の保護、先住民居住区や州境の森林地区保全のための法の適用を妨げはしない」としている。
 鉱山動力省鉱産局(DNPM)は「政府が鉱物資源の開発に目を向けてくれた」と同令を歓迎したが、非政府団体(NGO)のWWF―ブラジルは、同大統領令は域内の環境や住民に取り返しのつかない損失を与えると警告している。
 同保護区内での鉱物資源採掘は、同地域の保護区指定前から問題視されており、2010年現在の係争数は250件。その20%は、保護区指定前からのものだ。
 環境問題への関心度が高い政党、Rede所属のランドウフ・ロドリゲス上議は、大統領令の官報掲載直後に、同令差し止めを求めるプロジェクトを提出した。同上議は、同保護区には先住民居住区もあり、鉱物資源採掘や水資源の利用、鉱物資源調査などは議会が承認すべき事で、大統領令は違憲だという。
 同件は国内外の環境運動家にも衝撃を与え、世界的モデルで環境保護にも積極的なジゼリ・ブンチェン、歌手のイヴェッテ・サンガロなども抗議の声を上げている。