リオ大都市圏サンジョアン・デ・メリチ市で26日の朝、ファビオ・カヴァウカンテ・エ・サー二等軍曹(39)が父親の営む石膏店の前で頭部を銃撃されて死亡したと27、28日付現地紙が報じた。
サー氏は非番で、父親を尋ねてきた際、武装した集団に襲われた。集団は機関銃を含む火器で30発以上を発射。サー氏が10発以上を浴びて倒れると、賊たちは、同氏が携行していた銃その他を奪って逃げ去った。サー氏は病院に運ばれたが、すぐに息を引き取った。
サー氏は軍警として18年の職歴を持ち、既婚で、7歳の息子がいた。昨年は、共和党からサンジョアン・デ・メリチ市の市議選に立候補しており、補欠2位だった。
同氏が銃撃され、死亡した状況は、多くのリオ州軍警死亡事件と酷似している。非番の週末、現場は、事件が多く発生しているバイシャーダ・フルミネンセだ。軍警は強盗殺人と位置づけているが、市警側は、動機は不明としている。
サー氏の葬儀は27日に行われたが、参列した同僚の軍警や友人は取材に応じなかったという。
葬儀の間、感情が高ぶり「あと何人軍警は死ななきゃならない?」「警察が捕まえた犯罪者を、最高裁が簡単に釈放するという茶番劇はいつまで続くの?」と叫び声をあげる人もいた。
バイシャーダ・フルミネンセは13市からなり、人口は370万人を数える。麻薬密売組織の温床であるだけでなく、ミリシアと呼ばれる私兵集団も根を張っている。
軍警の死は新しい問題ではないが、近年、リオ州の財政が極度に悪化した事が状況を酷くしている。不満足な装備で犯罪者と対峙して殺されるだけではなく、不足する給料を補うために用心棒の副業をせざるを得ない軍警も数多い。
今年に入ってリオ州で死亡した軍警の数は、サー氏の死で100人に達した。ほぼ1週間に3人のペースで死者は増え続けている。サンパウロ州軍警は人員がリオ州の倍だが、今年上半期の軍警の死者は22人だ。
相次ぐ軍警の死に、同州のフェルナンド・ペゾン知事も反応し、「武装して警察官を殺害するような者たちは普通の犯罪者ですらなく、テロリストとして扱われるべき」と書面で発表した。
また、リオ州軍警司令官のウォルネイ・ジアス大佐も、「我々は、混沌の中で秩序を守る最後の砦。人員何人、死亡者何人と、統計数字で扱われる存在ではなく、一人一人、血の通った市民だ」との声明を発表した。