22日夜にブラジル北部のパラー州シングー川で起きた船の沈没事故で次々に不正が発覚しており、警察が社主のアウシマル・アウメイダ・ダ・シウヴァ氏を告発する事が確実になってきた。
この事故では、現在までに23人の死亡が確認されているが、犠牲者の大半が住んでいたポルト・デ・モス市のエウシオ・デ・デウス警部は、「同社主は乗客、乗員の祈りを危険にさらすという重大な罪を犯した」と語っている。
州当局は、カピトン・リベイロ号には事故当時52人が乗っていたとの前提で、行方不明者の捜索などを行っていたが、25日朝、船体の底の部分から子供2人の遺体が回収され、死者の数が23人となった上、2人の生存が新たに確認された(最終的な生存者は29人)事で、捜索を打ち切った。
同州政府は、生存者全員がトラウマやうつ病に悩まされる可能性があるとして、精神的なケアを提供する事にしている。
警察によると、乗客や乗員を危険にさらしたとされる第1要因は、6月に乗客を乗せての航行許可が切れていると通達されていたにも関わらず、週1度の営業運航を続けていた事だ。
しかも、本来の航行許可は、サンタレンからプライニャまでの170キロだったのに、今回は、サンタレンからプライニャ、ポルト・デ・モスを経てヴィトリア・ド・シングーに至る380キロの旅を行う事を届け出ておらず、しかも、海軍には、乗っていたのは2人だけとの虚偽の報告も行っていた。
さらに、25日朝、沈没した船を引き上げた消防隊員らが、人間しか乗せないはずの船の中に乗用車があるのを発見。専門家は、何トンもある車が搭載されていたため、船の重心が本来あるべき姿より高くなり、悪天候に見舞われた時に容易に安定性を失わせたと見ている。
事故の原因についてはまだ調査中だが、事故当時、現場付近は強い雨雲などに覆われ、屋根瓦がはがされるような風も吹いていたとされている。事故当時は竜巻のように渦巻く大気の流れが出来ていた事を示す目撃証言もあり、重心が高くなっていた上に、渦巻く大気の流れに巻き込まれ、船体が傾いて沈没した可能性が高まっている。(26日付エスタード紙などより)