ブラジル連邦検察庁のロドリゴ・ジャノー長官からの次の告発を前に、テメル大統領が、2日に行われた下院での告発受け入れ投票で謀反を起こした連立与党の下議が指名した高級官僚の役職を奪う処分に出ていると、29日付現地紙が報じている。
食品大手JBS社社主のジョエズレイ・バチスタ氏らの報奨付供述(デラソン・プレミアーダ)に基づいた収賄疑惑での告発を、連立与党の協力で乗り切ったテメル大統領だったが、ジャノー長官が9月17日の任期切れの前に出してくるであろう次の告発を前に、与党の協力体制をさらに強める対策に出ている。
それが、連立与党政党内で謀反の投票を行った下議に対する報復だ。具体的には、その下議が指名権を持っていた連邦政府傘下の機関の役職を奪う行為に出ている。
具体的な例をあげていくと、フェルナンド・フランシスシーニ下議(連帯・SD)はパラナー州の全国入植農地改革機関(INCRA)の役職者を指名していたが、その役職者が解雇された。同じSDの下議では、ラエルシオ・オリヴェイラ下議がセルジッペのINCRA、カルロス・マナト下議がエスピリトサント州のINCRAと同州内での農務省関連の役職者を各々指名していたが、彼らも解雇された。
また、アラン・リック下議(民主党・DEM)が指名した、全国保健財団(FUNASA)のアクレー州内の役員も職を失った。
また、ブラジル社会党(PSB)のパウロ・フォレット、ルイス・ラウロ・フィーリョ両下議が指名した、国家鉱山庁の役職者らも解任されたという。
これらの除名、解雇処分は、現時点までで約140人分に及んでいる。
ただ、党内の約半数の下議が「大統領告発の審理継続を求める」に投票した民主社会党(PSDB)の下議への処分が行われていないことで、他の連立与党から不満の声もあがっているという。
一方、ジャノー長官は28日、リオでグローボ紙が主催したイベントに参加した際、今後の告発について、「捜査が熟したと考えたら、告発(などの公式な)書類に署名する」という言い方で、退任前に新たな告発があることをうかがわせた。
だが、その一方で、「ラヴァ・ジャット作戦は永遠のものでもなく、いつかは終りが来るものだ」と、今後の同作戦の行方に関して意味深長な発言も行った。