《カ》日本語・日本文化発信事業における連携のための施策
日本語教育については、継承言語教育に加えて、非日系人も含め外国語としての日本語教育のニーズの高まりが見られ、また、日系社会に限らず、中南米社会全体において日本文化への関心が増大している。
かかる状況の中、海外移住審議会の従前の意見も踏まえ、デジタル時代への対応に留意しつつ、独立行政法人国際交流基金やJICAなどオールジャパンで、日系社会、日系ネットワークや現地日本語教育機関とも連携しつつ日本語普及や日本文化の発信事業を強化すべきである。
例えば、現地日系機関を日本文化やブランドの発信拠点として活用することや次のような施策の推進を検討すべきである。
(ア)現地の日本語教育ニーズの変化を踏まえ、また現地教育制度にも対応した日本語教育カリキュラム・教授法の導入支援
(イ)日系学校等現地校のバイリンガル校化や、外国語としての日本語教育に関する支援
(ウ)高等教育機関での日本語講座・日本研究講座の設置の促進
(エ)日本語教育機関等への教師養成が可能な高度な日本人の日本語専門家・日本語教師・ボランティアの派遣、日本語教材の購入支援やスペイン語・ポルトガル語での出版促進
(オ)巡回セミナー等による日本語教師研修や日本事情・文化の発信
(カ)インターネットを通じた日本語オンライン授業の実現、デジタル教材の開発
(キ)コラボレーション事業を含む日本文化・芸術分野の発信・交流事業やその他人的交流事業
(ク)日本の放送コンテンツの紹介事業
(ケ)インターネット等デジタル媒体を通じた日本事情・文化の発信,またデジタルインフルエンサーの活用
(コ)スポーツや教育、文化面の交流や企業活動支援等を通じた、日系社会の若い世代の日本への関心の喚起
(3)在日日系社会に関する施策
中南米地域の210万人を超える日系社会の約一割に相当する約21万人が日本に在住し、日本の経済活動に対する貢献及び日本と中南米諸国の人的交流に重要な役割を果たしている。
在日日系社会から日本と母国を結ぶ人材が育ち、将来の日本と中南米の架け橋として活躍することを応援する体制つくりが必要である。特に、在日日系人や母国への帰国者の子弟は、次世代の日本と中南米を繋ぐ力となるべき存在といえる。これら子弟が高度人材として育つよう、高等教育へのアクセスも含め支援することが重要である。具体的には次のような施策を積極的に検討すべきである。
《ア》在日日系人子弟(小中高大生)等への教育支援・奨学金支給
《イ》日本からの帰国子女への教育支援
《ウ》日本企業での日系人によるインターンシップ等の促進
《エ》グローカル協力隊制度(JICA日系社会ボランティアによる渡航前、帰国後の在日日系社会支援活動)の活用
《オ》中南米に帰国する在日日系人に対する、進学、技術指導、企業支援等の支援。
《カ》高い専門性を有する日系人材を経済界等において、或いは、JICA専門家等として活用することの推進
《キ》在日日系メディアの発信力を活用した情報(外国語も含む)発信
《ク》四世以降の世代にも、在留資格について特別な施策を検討すべきである。(終わり)