化学品部会の鎌倉勇人(はやと)部会長(スリーボンド)は、部会所属企業に取ったアンケートの結果を公表。輸送(自動車、二輪車、飛行機)市場に商品を提供する企業群では、14社中11社が昨年に比べて売上が増加したと回答し、回復の兆しがあると報告。一方、ヘルスケア、農業、印刷市場などに関わる企業群からは、売上が「減少」もしくは「不変」との回答が多くなり、ばらつきが見られた。
電気電子部会の千野浩毅(ちのひろき)部会長(ソニー)は、スマートフォンが今年2月、液晶テレビが3月から前年比販売台数増を継続しているなど、需要が「底打ち」し、回復していると報告。電子レンジ、エアコンなどの家電も回復傾向にある。下期に向けては、インフレ率、金利、失業率の改善による購買力回復に期待をかけた。
食品部会の黒崎正吉(まさよし)部会長(味の素)は、16年7月から1年のうち10カ月でスーパーマーケットの売上が前年を上回り、今年3月のシンポと同様、回復基調が続いているとした。一方で、低価格指向が強まり、嗜好品(飲料、菓子など)への支出抑制傾向も継続しているとした。
運輸サービス部会の細谷浩司(こうじ)部会長(日本通運)は、物流業界は輸出入取引額の前年比増、税関職員の待遇改善を含む法案の可決などの好材料を報告。海運、航空貨物業界とともに緩やかな回復を見込んだ。
建設不動産部会の奥地正敏(おくちまさとし)部会長(戸田建設)は、他産業と比べて回復の見通しが立っていないとし、建設業界からの多くの失業者が出ていると報告。設備投資の抑制傾向、工事の小規模化、受注競争の激化が続くため、日本技術を展開することの重要性を強調。各社の技術導入例を紹介した。
繊維部会の豊田明生(とよだあきお)部会長(ユニチカ)は、綿花の原料生産は増加しているが、中国等で加工された安価な製品が国内に流れ込んでくるため、国内加工産業が圧迫されていると報告。16年には日系紡績6社のうち3社が繊維事業から撤退している。厳しい市場環境を打開するために、高機能製品での市場開拓や、商品・サービスでの差別化を図る必要性を訴えた。
原因は様々だが、業種によっては暗いトンネルが続いているようだ。
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