俳誌『朝蔭』454号が8月に刊行された。《くさめしてとんと一句を忘れけり》(秋枝つね子)を読んでニヤリ。やはり「逃がした魚は大きい」か。《墓参る遺影は若し移民墓地》(小坪広使)は、「墓の遺影に使われた写真はやけに若かったな」と思いながら苦労多かった故人の生涯を偲ぶ様子を詠ったものか。それとも、故人は実際に若くしてなくなり、自分の方ばかりふけてきたと感慨をおぼえたことを詠ったものか。《永住と決めてはじめるポ語夜学》(栢野花影)、《鯉のぼり仰ぎて老いの目がうるむ》(西南州)、《寿司巻いて主婦の座かたき異人妻》(栢野桂山)など秀句ぞくぞく。