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レナト・ルッソの大展示会開催=ブラジル音楽史上最大のロックスター

 6日より、サンパウロ市の美術館・博物館で現在最も人気のあるサンパウロ音声映像博物館(MIS)で、ブラジルが生んだ最大のロックスターで、ロックバンド、レジオン・ウルバーナの中心人物レナト・ルッソの大展示会が開催される。
 MISといえばこれまで、ロックスターのデヴィッド・ボウイや鬼才映画監督のスタンリー・キューブリックが世界的に展開した展示会のブラジルでの受け皿会場として機能し、記録的な来場者数を記録するなど、ここ数年、特に若者から高い支持を受けている博物館だ。
 そのMISが、数年前から、「MIS史上最大の展示会になる」と予告してきたレナト・ルッソの展示会が遂にベールを脱ぐ。
 レナト・ルッソと言えば、80年代にブラジル全土に起きた空前のバンドブームの際に最大の人気バンドとなったレジオン・ウルバーナのヴォーカルと作詞作曲を手がける中心人物として知られている。国際的な知名度こそ、ボサノバのジョアン・ジルベルトやMPBのカエターノ・ヴェローゾなどには及ばないが、ことブラジルでは、とりわけ、40代以下の年齢層にとってのレナト・ルッソは「音楽界の良心」的存在で、1996年にやってきた36歳の突然の死以降も、その存在は、特別かつ絶大なものであり続けている。
 MISでは今回、MIS史上でも最大規模の1千点を超える展示が用意されている。それはレナトが所有していた本、レコード、洋服、身分証明書の写真などを含むが、最大の見ものと目されているのは、レナト本人が生前につけていたとされる大量のノートだ。
 それらのノートは、幼少時からの学校でとったものや、歌詞やデザインなどが書かれている。中には、「買うべきCDの購入リスト」「夕食に招きたい有名人10人」といった、個人的な生活をうかがわせるものや、「どうして今日はこんなに悲しいのか」「悪夢が終わったときにしたいこと」といった、文学的にも高い評価を受けたレナトの歌詞の世界に酔いしれた人なら垂涎ものの記述も含まれている。
 今回の展示を実現するために、レナトの所持品の清掃や復元にあたったスタッフは15人。それらのものを、レナトが生前最後に生活したリオのレブロンからサンパウロまで運ぶには、飛行機で3往復を要したという。
 レナト唯一の相続人である、一人息子のジュリアーノ・マンフレジーニさんとMISは、今回展示されるもののみではなく、全部で3千点以上とされる所持品を管理し続ける約束も取り交わしているという。
 MISでの展示会の売りは、レナトのリオのアパートをまるでそのまま復刻したかのような内装だという。
 このプロジェクトを指揮した前MIS館長で現在はサンパウロの文化局長をつとめるアンドレ・ストゥルム氏は、「今回の仕事をするまでは、レナトといえば、ステージでの腕を震わせる派手なアクションを思い浮かべていた。でも、彼のアパートに入ると、世捨て人の家みたいで一人暮らし用のベッドがポツンと置いてあるだけなんだ。ロックスターとは言え、僕らのおばあちゃんの部屋となんら変わらない。あれを見たら誰もが復元したくなるよ」と語っている。(8月31日付フォーリャ紙より)