ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》ルーラ元大統領=検察庁が9件目の起訴=今度は自動車業界向け暫定令で=元側近と共に600万レ受領

《ブラジル》ルーラ元大統領=検察庁が9件目の起訴=今度は自動車業界向け暫定令で=元側近と共に600万レ受領

最初に起訴された直後に行った抗議集会でのルーラ氏(16年9月15日、Roberto Parizotti/Cut)

最初に起訴された直後に行った抗議集会でのルーラ氏(16年9月15日、Roberto Parizotti/Cut)

 ブラジル連邦検察庁が11日、2009年11月23日にルーラ元大統領が出した、自動車製造業者向けの税優遇措置を定めた暫定令(MP)471号に関する収賄疑惑で、元大統領と、当時はルーラ氏付秘書室長で、ジウマ政権では大統領府総務室長官となったジルベルト・カルヴァーリョ氏を起訴したと11、12日付現地紙、サイトが報じた。
 ルーラ氏にとり9件目の起訴となったのは、MP471号が金で買われたとの疑惑だ。同MPによる税優遇措置の対象は北部や北東部、中西部の自動車製造会社で、2015年10月に始まったゼロテス作戦は、2013年に同MPが延長された際、これらの会社がロビイスト達に3600万レの賄賂を贈った事を暴いた。ルーラ氏は既に250万レの収賄容疑で被告となっている。
 だが、今回は、これまで言われてきたMP延長時の贈収賄ではなく、MP作成、発行時の贈収賄が問題となった。
 検察によると、MP471号の草案作成は09年6月に始まり、恩恵を被った業者達は、同MPの内容を発行前に知り、変更箇所のリクエストさえしていたという。
 12日付エスタード紙や11日付G1サイトなどによると、MP471号作成時の不正には、ヒュンダイ車の製造やヒュンダイ、フォードなどの販売を担当するCaoa社のカルロス・アルベルト・デ・オリヴェイラ・アンドラーデ社長、三菱自動車ブラジル子会社のMMCアウトモトーレスのパウロ・フェラス元社長、ロビイストのマウロ・マルコンデス被告、SGR社共同経営者のアレッシャンドレ・パエス・ドス・サントス氏とジョゼ・リカルド・ダ・シウヴァ氏が関与していた。シウヴァ氏は税務管理審議会(Carf)元委員で、審議会内での不正にも関与したと見られている。これら5人は贈賄罪、ルーラ氏とカルヴァーリョ氏は収賄罪で起訴された。
 MP発行促進のために元大統領らに払われた賄賂は600万レとされているが、検察が押収した文書には、最初は1千万レを請求していた事が窺われる文言もあった。SGR社は、自動車製造会社から3300万レを受け取る見込みだったが、Caoaが難色を示したため、マルコンデス被告が賄賂の額の値下げ交渉を行ったようだ。
 検察は、MP471号は官報掲載の4日前に三つの省庁を一気に通過するなど、通常ではありえない形で発行に至った事なども明らかにした。
 なお、ルーラ氏は13日にパラナ州クリチバの連邦地裁で、サンパウロ市にあるルーラ研究所用の土地とサンベルナルド・ド・カンポ市の自宅の隣のアパートが、オデブレヒト社からの賄賂であったと疑われている件で被告尋問を受ける事になっている。