ブラジル連邦警察が13日朝、アキレス腱作戦第2弾を敢行し、JBS社主の一人で同社社長のウエズレイ・バチスタ容疑者を逮捕した。報奨付供述での情報隠匿が判明し、司法取引違反に問われて一時逮捕中だった弟のジョエズレイ・バチスタ容疑者も、無期限の拘留に変わったと同日付現地紙サイトが報じた。
バチスタ兄弟の逮捕令状は、サンパウロ連邦地裁第6法廷が出した。同法廷は金融関係の犯罪を扱っており、JBSが同社関係者による報奨付供述の内容が暴露された5月17日に、大量のドルを買い込み、暴利を得るなど、検察庁との司法取引を逆手にとった株や為替の不正操作を行っていた疑惑に基づく逮捕劇となった。
5月17日に行われた報奨付供述の内容の報道は、翌日にドルが8%も高騰するという事態を招き、報道直前に10億ドルを購入していたJBSは巨額の利益を得た。また、同社は4月にもわずか6日間で3億2700万レアル分の同社株を売却しており、1億3800万レアル分の損失を回避したとされている。
これら一連の行為では、事前に入手した(この場合は彼ら自身が提供した)機密情報を利用したインサイダー取引が疑われていた。
JBSに関しては、捜査や起訴の対象となる疑惑が、有価証券取引委員会(CVM)だけで13件もあり、6月8日に敢行されたアキレス腱作戦第1弾では、JBS本社など3カ所の家宅捜査と関係者4人の強制連行・事情聴取が行われた。今回の捜査・逮捕は同作戦第2弾にあたる。
連警側は「バチスタ兄弟は司法取引の成立後もなお、契約に反した犯罪行為を続けている。彼らの違反行為で生じる被害は、JBS株主だけでなく、ブラジルそのものに及んでいる」との言葉で、2人の逮捕に至った経緯を説明している。
ウエズレイ容疑者は13日午後、連邦地裁第6法廷で尋問を受けた。同容疑者は今後、州立刑務所に移送される予定だ。また、ブラジリアで一時逮捕中のジョエズレイ容疑者は、8日に出た逮捕令状に基づく拘留期間終了後、アキレス腱作戦での逮捕者として、サンパウロ州に移送される見込みだ。
上下両院はJBSに関する合同議会調査委員会を設置し、10日に逮捕されたジョエズレイ、サウジ両容疑者らの喚問を望んでいるが、34人の委員中8人は同社からの寄付を受けたとか、JBSは12人に360万レアルを寄付したなどの報道も続いている。