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広島県=「広島・キューバ展」開催=日本移民も戦中、革命で苦難

展示ポスター

展示ポスター

 広島県から多くの移民が海を渡りブラジルの地に生活を根付かせたが、キューバへの移民史はあまり知られていない。広島市で9月16日から29日まで開催される「広島・キューバ展」(同実行委員会主催)は、カリブ海での島国の移民の苦難の歴史に当てる。実行委員事務局長を務めるのは元ニッケイ新聞記者の堀江剛史さんだ。
 中国新聞(本紙提携)12日、13日付などの記事によれば、19世紀末から始まったとされるキューバへの移民の1割が広島県人で、現在は1200人ほどの日系人が住んでいるとされる。展示は写真13点を用いて、邦人のまとめ役となった広島出身の故内藤五郎さんと日本人移民の歩みを伝える。
 内藤さんは1908年、19歳のときに先に渡航していた兄に呼び寄せられ、荒地を開墾する厳しい労働に従事した。その後、青果市場で事業が軌道に乗るが、日米開戦で敵国人とみなされ、刑務所に収容され、財産は募集される。
 戦後、小さなカフェを営んだが、59年のキューバ革命で店を接収されしまう。漁業公社に職を得て、日系人のまとめ役として64年の慰霊堂建設に尽力した。
 堀江さんは「キューバ移民も戦時中は強制収容され、革命で財産も接収されと、ブラジルに負けず劣らず時代に翻弄される歴史があったようです。2008年に同じ会場であった『ブラジル移民百周年写真展』は過去最高の入場者数を記録した。それを越えられればありがたい」と本紙にメールでコメントした。
 59年、チェ・ゲバラが広島に訪問した際の写真や手紙なども展示される。