14日、退任直前のロドリゴ・ジャノー連邦検察庁長官が、テメル大統領に対する2度目の起訴状を最高裁に送付した。今回の容疑は、民主運動党(PMDB)の下院部門の贈収賄犯罪を率いた疑いと、ラヴァ・ジャット作戦の捜査妨害でのもので、他のPMDBの要人たちも同時に起訴された。15日付現地紙が報じている。
今回の告発は、PMDBのロビイストだったルシオ・フナロ被告や、J&Fグループ社主のジョエズレイ・バチスタ氏らが行った報奨付供述(デラソン・プレミアーダ)に基づくものだ。
PMDBの下院グループによる贈収賄工作疑惑は、フナロ氏をはじめとするロビイストや、オデブレヒト、J&Fといった企業関係者のデラソンで浮上していた。検察庁によると、同グループによる汚職行為は、ペトロブラスや連邦貯蓄銀行だけでなく、国家統合省、農務省などにも及んでいた。同党の贈収賄工作で、国は少なくとも5億8710万レアルの損害を受けたという。
ジャノー長官が今回提出した起訴状では、エリゼウ・パジーリャ官房長官、モレイラ・フランコ大統領事務局長官といった現政権重要閣僚の他、ジェデル・ヴィエイラ・リマ前大統領府総務長官、エドゥアルド・クーニャ前下院議長、エンリケ・アウヴェス元下院議長、ロドリゴ・ロシャ・ロウレス元下議という、ラヴァ・ジャット作戦で逮捕中や自宅軟禁中の人物も起訴されている。
検察庁は、テメル氏は他の容疑者たちに役職や権力などを持たせる一方で、企業の贈収賄工作の取り決めを行い、賄賂の受け渡しなどの直接的な資金の流れに関する交渉は他の容疑者たちにさせるという形で、政界での地位を築いてきたとしている。
検察庁は「企業との贈収賄工作の取り決め」の一例として、3月7日のジョエズレイ氏との会談で、農務省の大物のヴァギネル・ロッシ氏とミウトン・オルトラン氏へ毎月の贈賄を行うよう取り決めた疑惑をあげた。
検察庁は、両者の会談の録音に含まれていた「クーニャ氏への口止め料は継続するように」と受け取れる箇所を問題視し、テメル氏とジョエズレイ氏、リカルド・サウジ氏の3人を、捜査妨害で起訴してもいる。
この告発をうけ、ロドリゴ・マイア下院議長は「深刻なものと受け止める」との見解を示した。
だが、連邦政府は「根も葉もないこと」と冷ややかな反応を示した。それは、JBSのジョエズレイ、サウジ両容疑者が、検察庁元検事のマルセロ・ミレール氏にデラソン作成などを手伝ってもらったことや情報隠匿などの疑いで逮捕された上、ジャノー長官自身もその事実を事前に知っていた疑いをかけられているためだ。
最高裁ではJ&Fとの司法取引そのものや同社が提出した証拠の有効性に関する審理を、20日に行う予定だ。ファキン判事は、今回の起訴状を下院に回すか否かをこの審理後に決める意向だ。