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ロック・イン・リオ=前半の3日が終了=ハプニングあり、政治的主張あり

 ブラジルを代表する2年に1度の国際的大イベント、ロック・イン・リオが、15~17日に、第1弾となる最初の週末の日程を終えた。ここまでのハイライトを振り返ってみよう。
 まずは開幕日の15日。午後7時にはじまった、メイン・ステージでの開会式には、ブラジルが誇る世界的スーパー・モデルのジゼリ・ブンチェンが挨拶役で登場。ロック・イン・リオ財団も推進しているアマゾンの森林保護の必要性を訴えた。
 環境保護活動もしているジゼリは今年6月、テメル大統領がパラー州にある森林保護区の面積削減に繋がる大統領令を出したと聞き、テメル大統領にかけあい、アマゾンの森林保護を訴えたが、聞き入られなかった。
 ジゼリは「私たちで力を合わせて世を変えて行きましょう」と訴え、ブラジル屈指の人気女性歌手イベッチ・サンガーロと共にジョン・レノンの名曲「イマジン」を歌った。この日は、感極まったジゼリが涙を流す瞬間も見られた。
 また、初日のトリをつとめるはずだったレディ・ガガが、体中が痛む慢性リュウマチ性の病気悪化を理由に、前日に出演をキャンセル。その代理として2日目のトリのマルーン5が、初日と2日目の連続でトリをつとめた。マルーン5は初日の公演で、ボサノバの名曲「イパネマの娘」を、ヴォーカルのアダム・レヴィーンとギタリストのアコースティック・ギターのみで聞かせる演出を見せるなどして話題を呼んだ。
 2日目に話題を呼んだのは、ここ最近、人気急上昇中の、華やかな女装のドラッグクイーンの歌手、パブロ・ヴィタールが、人気ヒップホップ・グループ、ブラック・アイド・ピーズの元人気女性歌手、ファーギーのステージに、まさかの飛び入り出演を果たした。
 パブロはそこでファーギーと自身の代表曲のひとつ、「スア・カラ」を歌ったが、これがひとつの挑発行為として話題を呼んだ。それは、この曲が、現在、ブラジル国内で最も人気のある女性歌手で、世界進出も行うほど期待されているにもかかわらず、主催者のロベルト・メジーナ氏の「彼女には関心がない」の一言で出演がかなわなかったアニッタとのデュエット曲だったからだ。
 ロック・イン・リオは国民に支持さえあれば、ロック以外の音楽でも出演オーケーという寛容さがあるのに、アニッタの歌うファンキだけが対象外というのはおかしい。今回のロック・イン・リオの前にはそういう議論も行われ、アニッタ自身も抗議していた。
 3日目は、アメリカのR&B女性歌手、アリシア・キーズが、「キル・ユア・ママ」という環境破壊についての曲を歌う前に、アマゾンに住む先住民の女性族長をステージにあげ、差し迫った環境破壊について警告するメッセージを訴えた。
 アリシアは観衆に、テメル政権が行おうとしているブラジル北部の鉱山資源国立保護区(RENCA)廃止と、鉱山調査団体民営化について注目を求めた。RENCAの保護区指定が解除され、鉱物資源の採掘が許可されれば、資源開発を名目としてアマゾンの森林が破壊される恐れが出てくるのだ。
 この件に関する議会での投票が9月中に行われるため、アリシアは反対を呼びかけている。
 ブラジルやアメリカの音楽界では左派勢力が強く、労働者党のジウマ大統領を罷免に追い込んで成立したテメル政権には強い反感を抱いている。
 ロック・イン・リオは21~24日に第2陣が行われる。