テメル大統領は18日、ニューヨークの国連総会に出席するために渡米した。その日の晩餐会では米国のトランプ大統領と席を共にし、ベネズエラの危機についても話し合った。19日付ブラジル国内紙が報じている。
テメル大統領は18日午前8時台にブラジリアの連邦検察庁でラケル・ドッジ長官の就任式に出席し、挨拶なども行ったが、その後すぐにニューヨークに直行した。専用機でニューヨークのJFK国際空港に着くとまっすぐ、ロッテ・ニューヨーク・パレスに向かい、トランプ大統領との晩餐の席についた。
晩餐会にはアルゼンチンやコロンビア、パナマといった他の中南米諸国の首脳も同席しており、トランプ大統領は彼らを前に、ベネズエラのニコラス・マドゥーロ大統領の政権が抱える危機について話しはじめた。
「マドゥーロ大統領の政治運営はベネズエラ国民を危機に陥れた。さらに、自己保身のために制憲議会なるものを発足させ、国民が選挙で選んだ議会を奪った」と切り出したトランプ大統領は、「私たちが力を合わせ、ベネズエラに民主主義と自由をできるだけ早く回復させないといけない」と語った。
テメル大統領が晩餐後に取材陣に語ったところによると、晩餐会に参加した南米の首脳たちは、人道支援などの必要性を説くトランプ大統領の発言には「全面的に賛成」する一方で、同国の経済と政治の回復は、諸外国からの干渉なしでやりとげることが重要だという共通認識を持っているという。トランプ大統領は8月にベネズエラへの軍事介入も辞さないと語っており、今回の晩餐会の直前にも「何らかの追加措置をとる準備ができている」と語っていた。
さらにテメル氏は、この問題の解決のためにはカリブ海諸国の協力が必要だ、との見解も示した。これらの国々は、先代のチャベス大統領の時代からチャビズモ政権を熱心に支持しており、これがこれまでもベネズエラの問題の解決を阻んできている。
また、パナマのフアン・カルロス・ヴァレーラ大統領は、「2018年に行われるベネズエラの大統領選挙を公正で透明性のあるものにするために、協力しなければならない」と語っている。
テメル大統領によると、晩餐会では特に具体的にベネズエラへの制裁については話し合っていないという。米国は既に、マドゥーロ政権の重要人物らが米国に持つ口座などを凍結させる処置をとっている。
テメル大統領は19日の午前中、国連総会でスピーチを行い、ブラジルの安定的な発展を約束するとともに、法定アマゾンの森林伐採に関して、国際的に課された目標に沿った結果を出している、などと語っている。