ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》「砂の城作戦」の証拠廃棄延期=元高裁長官への贈賄疑惑受け=パロッシ供述でまた波紋?

《ブラジル》「砂の城作戦」の証拠廃棄延期=元高裁長官への贈賄疑惑受け=パロッシ供述でまた波紋?

ルーラ氏の片腕として活躍していた頃のパロッシ被告(Arquivo/Agência Brasil)

ルーラ氏の片腕として活躍していた頃のパロッシ被告(Arquivo/Agência Brasil)

 ラケル・ドッジ氏がブラジル連邦検察庁長官に就任した18日、2009年に連邦警察が実施したが、11年4月に無効化された「砂の城作戦」に関する資料の廃棄延期が決まった。
 18、19日付現地紙やサイトによると、同作戦の資料は8月23日に廃棄処分となるはずだったが、検察庁の要請で、連邦裁判所が廃棄差し止めを決めた。検察側の要請は、ルーラ政権の財相で、ジウマ政権でも官房長官を務めたアントニオ・パロッシ被告が8月に、2010年1月に同作戦差し止めの暫定令を出したセーザル・アスフォル・ロッシャ高等裁長官(当時)が500万レを受け取り、捜査停止を図ったと供述した事による。
 砂の城作戦は、建設大手のカマルゴ・コレア社(以下、CC)が、サンパウロ市の地下鉄工事など、複数の州での公共事業契約で不正を行っていたとの疑惑に関する捜査だ。
 同作戦では50件以上の疑惑が扱われ、1998年の上議選で63万7600ドルを不正に受け取り、2002年の下議選でも賄賂を受け取ったとされるジョゼ・ロベルト・アルーダ元連邦直轄区知事や、下議時代の1996~98年に計21回、総計34万5千ドルを受け取ったとされるテメル大統領、100万レアルを受け取り、土地使用許可取得を助けたとされるカサビサンパウロ市長時代の住宅課長ら、多数の政治家の名前が出ていた。
 だが、10年1月に出たロッシャ元長官の暫定令に続き、11年4月に高等裁第6小法廷が捜査の無効化を決定。今年8月に捜査資料の廃棄も決まっていた。
 パロッシ被告は今月6日にも、クリチバ連邦地裁でのラヴァ・ジャット作戦絡みの裁判で被告尋問を受け、オデブレヒト社経営審議会議長のエミリオ・オデブレヒト氏が2010年末、ルーラ元大統領にルーラ研究所の土地やアパート、3億レアルの賄賂などを提供して利権継続を図ったと証言。その後も、労働者党(PT)が砂の城作戦無効化のために5千万レアルを受け取ったと語っている。PTは現在、同被告を除籍しようと動き出している。
 パロッシ被告は司法取引(報奨付供述)成立間近とされ、砂の城作戦の資料も最低半年間、廃棄停止となった。一旦廃棄が決まった資料が、今後の捜査で使うために再保管されるのは特例だ。
 ドッジ検察庁長官は18日の就任挨拶で、他のテーマも扱いつつ、汚職捜査を継続する旨を明らかにしている。