JICA草の根技術協力事業として、サンパウロ州カサパーバ市で8月から実施される環境教育推進事業のため、公益財団法人しまね国際センター(有馬毅一郎理事長)一行が来伯し、同市で事業の組織作りや打合せや、現地協力者らと共に三ヵ年事業計画を立案した。
有馬理事長をはじめ、玉串和代常務理事長、小寺真由実総務交流課長、島根大学教育学部の高塚寛特認教授、松本一郎、長和弘専門員が来伯した。
同センターは、JICA草の根技術協力事業により、14年8月から17年2月まで同様の事業実施。同市内の小学校2校をモデル校として、同校教員の環境教育指導力向上と児童の環境認識の深化に努めた。
指導を受けた教員らは互いに協力して授業計画案を策定し授業計画を実行するなど、環境教育だけでなく団体での取り組み方にも成長を見せたという。
2回目となる今事業の申請は、昨年12月中に行われ、認定されたのが4月。その後、JICAと交渉し、8月に事業が始まった。今回は市内全体を対象に、小学校だけでなく中学校や、成人の教育機関にも環境教育指導を行う。
玉串常務理事長は「同市が主体となって環境教育に取り組めるようにする。最終的に事業団体が同市の環境教育活動をサポートしていくような形を目指す」と説明した。
島根大学教授でもあり、各国の環境教育に関する調査を行っているという松本さんは、「教え方に差があるが、当地の子どもたちの学びへの意欲は高い。環境教育をどれだけ多くの人に広げられるかが肝」と語った。
滞在中は、同市の教育関係者との交流も行われた。長和さんは、「環境教育への意識の高さが伺えた」と手応えを語り、「環境教育はブラジル全体に必要。各学校で実践して、家庭・地域に広げていって欲しい」と期待した。
また、前回のモデル校2校にも訪問し、生徒らによる環境調査発表も行われた。高塚さんは「ブラジル人子弟は環境への意識を強く持っている。3年後にはしっかりした足取りで歩めるようにしたい」と意欲を見せ、有馬理事長も「自立して続けていけるよう基礎から作っていきたい」として今事業の目標を語った。
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