19日、下院本会議で、選挙において純粋な得票数だけで当選者を決める「ディストリタン(大選挙区短期相対多数性)」を導入するか否かの投票が行われたが、憲法改正に必要な得票数を大きく下回り、却下された。これにより、少なくとも来年の選挙への導入はなくなった。20日付現地紙が報じている。
今回の投票は、2018年の下院議員選挙、州議員選挙、20年の市議会選挙で、得票数の多い順に当選者を決める「ディストリタン」を導入するか否か、についての投票だった。
上院選挙では既にディストリタン方式が導入されているが、下院選、州議員選、市議会選では、政党に対する得票数の割合を当選数に反映させる、いわゆる「比例代表」の形をとっている。
ブラジルは多党制ということもあり、零細政党や新人には不利なディストリタンより、党員が少ない政党にも票の重みが反映される比例代表制が好まれる側面がある。
今回のディストリントン導入は政治改革の一環としての案だったが、従来までの慣例の変化は議会全体では受け入れられておらず、投票の結果、賛成は憲法改正に必要な308票には大きく及ばない205票のみ。反対票は238票で、こちらの方が多かった。
この投票では、民主運動党(PMDB)、進歩党(PP)、民主社会党(PSDB)といった、従来から議員数が多く、改正によってさらに恩恵を受ける党は賛成票を投じたものの、労働者党(PT)やブラジル共産党(PCdoB)、民主労働党(PDT)といった野党勢力が反対し、少数政党もこれに続いた。
今回の政治改革案の中には、ディストリタンのほか、下院の中で15%以上を占めない党には政党助成金が出なくなるような法案も含まれており、少数政党に対する締め付けが厳しくなる可能性が強い。
改革提案では、18年の下議選、州議選、20年の市議選はディストリタンで、22年の下議選と州議選からはディストリタンと比例代表を組み合わせた形での選挙にしようとしていた。
上院議長は8月に、下院が承認すれば、上院もディストリントンを承認すると発言していたが、今回の投票結果から見る限り、来年の選挙に間に合うように選挙方法を変更することは困難だ。18年選挙に選挙法の変更を反映させるためには、10月のはじめまでに上下両院で修正案を承認しなければならない。
下院ではこの投票後、20日未明までかけて、政党間の連立と企業からの政治献金に代わる国からの政党ファンドに関する審議を行ったが、具体的な結論は出なかった。