20日、連邦最高裁は連邦検察庁によるテメル大統領への告発を下院での審議に伏すか否かの審理を行った。判事投票は20日の時点で7対1、最終的には10対1で、起訴状を下院に回し、大統領に対する最高裁での審理開始を認めるか否かの判断を待つことになった。21日付現地紙・サイトが報じている。
今回の審理は、ロドリゴ・ジャノー前検察庁長官が14日に最高裁に提出したテメル大統領に対する告発に対し、大統領から差し止め請求が出されたために、最高裁大法廷で行われた。
テメル大統領は、民主運動党(PMDB)下院部門でペトロブラスや連邦貯蓄銀行などでの贈収賄工作を率いていた容疑と、ラヴァ・ジャット作戦(LJ)の捜査妨害の容疑で訴えられている。
大統領側は、今回の告発が、元検察庁検事のマルセロ・ミレール氏が司法取引に関与していた疑いが持たれたことで、司法取引の効力を差し止められ、10日に逮捕されたJBS社社主のジョエズレイ・バチスタ容疑者らの報奨付供述に基づいた容疑が含まれていることを不服とし、差し止めを申し出ていた。
だが、そうしたテメル大統領の意向に沿うような判断を行ったのは、かねてから親交の深いことで知られているジウマール・メンデス判事ひとりで、20日に投票を行った他の7判事は告発の有効性を認め、下院に回す判断を支持した。
告発の差し止めに反対したのは、LJの報告官を務めるエジソン・ファキン判事が皮切りで、テメル政権最初の法相だったアレッシャンドレ・デ・モラエス判事以下、ルイス・ロベルト・バローゾ、ローザ・ウェベル、ルイス・フクス、ジアス・トフォリ、リカルド・レヴァンドウスキーの各判事も報告官に続いた。21日にはマルコ・アウレリオ・メロ、セウソ・デ・メロの両判事、カルメン・ルシア長官も起訴状を下院に回すことに賛成する票を投じ、10対1の大差となった。
起訴状が下院に回されると、7~8月に行われた第1回目の告発の審議同様、憲政委員会(CCJ)で最高裁での審理実施の是非を審議した後、下院本会議での全体投票となる。
下院議員全体の3分の2(342人)以上が最高裁での審理実施に賛成し、最高裁がその決定を受理すれば、テメル大統領は180日間の停職処分となる。1回目の告発の時は、227人の賛成に留まり、反対の263人をも下回った。
20日と21日の最高裁審理には、18日に就任したばかりのラケル・ドッジ検察庁長官がはじめて同席した。ドッジ長官は今回の審理に関し、「下院で審議を行う前の過程は憲法の定める手順に従って進められており、それ以前に告発を無効にしてしまうような余地はどこにもない」との見解を書面で示した。