ブラジル国税庁が20日、8月の税収は昨年同月比10・78%増の1042億レアルとなり、同月としては15年以来の好結果だったと発表したと21日付現地紙が報じた。
昨年11月以降の税収は、マイナス1・19%からプラス3%の間で推移しており、大半の予想を上回る10%台の増加は関係者を驚かせた。
8月の税収増は、金融機関の収益に対する税金や燃料関係の税金が増えた事や、滞納分の税金回収計画(Refis)が機能し始めた事、勤続期間保障基金(FGTS)の休眠口座の資金開放による家庭消費の拡大などを反映している。
国税庁によると、8月は工業生産や資本財の販売、給与所得の総額、輸入額といった経済指数が全て上昇している。また、法人税(IRPJ)や純益に対する社会納付金(CSLL)が、金融機関の43・5%などを筆頭に24・6%増えるなど、主な税金は全て徴収額が伸びている。
景気後退(リセッション)を抜けた年(2000、2004、2010の各年)は8月の税収が14%台の伸びを見せた事を考えると、今回の増収率は決して大きいとは言えない。
しかし、20日は、27日に実施される予定だが、実施差し止めの暫定令が出ていた、ミナス・ジェライス電力公社(Cemig)の発電所4カ所の入札について、連邦高裁が差し止め解除の判断を下す事など、今後の歳入増を予想させる動きもあり、現政権の経済スタッフの愁眉が開いた。
また、8月の税収が予想以上に伸び、1~8月の税収も昨年同期比1・73%増となった事で、1~7月の税収が予算作成時の見込み額を385億レアル下回り、基礎的財政収支の赤字上限を1590億レアルとした時に前提とした税収減額500億レアルの80%に達していた件も、少し安堵できる状況になった。8月の結果を踏まえ、年末時点の赤字額は1562億レアルとの試算も出ており、基礎的収支の赤字額が許容範囲内に収まる可能性が高まった。
8月の税収で景気回復の兆しがより強まった事や第2四半期の経済活動指数などを受け、中銀が21日に、今年の国内総生産(GDP)の成長予想を6月の0・5%から0・7%に引き上げた。
中銀は、農牧業のGDPを9・6%増から12・1%増に引き上げたりした一方、工業GDPは0・3%増を0・6%減に引き下げるなどの調整を行った。また、2018年のGDP成長率は2・2%、インフレは今年が3・2%、18年は3・8~4・2%上昇との試算も行っている。