ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)が、民主運動党(PMDB)や政府の行動に不快感を示した上、下院に送付された2度目の告発が読み上げられる予定だった22日に、顧問弁護士が降板を表明するなど、テメル大統領周辺が慌しくなっていると、22日付現地紙、サイトが報じている。
テメル大統領に対する連邦検察庁からの2度目の告発は、20、21日に行われた最高裁での審理で、下院に回されることが決まり、21日の内に下院に送付された。この起訴状は22日に朗読されるはずだったが、同日は定足数が不足し、朗読は来週に延期された。
当初は、下院に起訴状が回されても、大統領の残り任期が短いことや、テメル氏を告発に追い込んだジョエズレイ・バチスタ氏らが逮捕されたことなどで、告発の勢いは落ちたと見られていた。
だが、ここに来て、不穏な空気が立ち上がりつつある。それは、ここまでテメル大統領に忠誠を尽くしてきたマイア下院議長がテメル大統領のPMDBに対する不満を表明したからだ。
マイア議長は20日、チリ大使館でのイベント後、「PMDBが連立与党の背中にナイフを突き付けている」と発言し、PMDB党首のロメロ・ジュカー氏やエリゼウ・パジーリャ官房長官らの行動を具体的に名指しして批判した。
事の発端は、DEMに移ろうとしていたブラジル社会党(PSB)の不満分子の連邦議員をPMDBが引き抜こうとしていることだ。国家統括相だったフェルナンド・ベゼーラ・コエーリョ上議は2週間前入党し、別の6人の下議とは接触中だという。マイア氏はかねてから、この件でテメル氏を牽制していた。
他方、マイア氏自身も、PMDBだがジウマ前大統領支持派のカチア・アブレウ元農相や、社会保障制度改革に反対したりしている同党の反乱分子らと会食したり、PMDBと大統領選での争奪戦が噂されているジョアン・ドリア・サンパウロ市長(民主社会党・PSDB)と会うなど、気になる動きを見せている。
また、1回目の告発で反対票を投じてテメル氏を助けた進歩党(PP)や社会民主党(PSD)、ブラジル労働党(PTB)といったセントロン系の党が、半数の下議が投票時に謀反を起こしたPSDBのアントニオ・インバサイ氏が大統領府で権力を持ち続けていることに不満を覚えており、反乱の火種を指摘されている。
更に追い討ちをかけるように、22日、これまでテメル大統領の弁護を務めてきたアントニオ・クラウジオ・マリス氏が弁護降板を発表した。マリス氏は、今回のテメル氏告発の資料の一部ともなった報奨付供述を行ったルシオ・フナロ被告の弁護人を務めていたことがあり、倫理的に続投困難と判断したという。
マリス氏は自分に代わる弁護士を推薦すると同時に、公式な立場での弁護は行わないが、テメル氏は友人との理由で、法律上の相談には応じる意向を表明している。