労務省が21日に発表したところによると、8月は正規雇用者数が3万5457人分増え、5カ月連続の雇用拡大となったと21、22日付現地紙、サイトが報じた。
同省が全就労・失業者台帳(Caged)を基に集計した結果、労働市場では今年、1月と3月以外は採用が解雇を上回る状態が続いており、1~8月の累積では16万3417人分の雇用創出となった。
昨年同期は65万1200人分の雇用喪失だったから、状況はかなり改善している。8月は5カ月連続の雇用創出となったとニューヨークで聞いたエンリケ・メイレーレス財相は、「ブラジルの経済は回復に向かっている。インフレは抑制され、金利は下がったし、雇用の増加は経済活動が活性化している証拠だ」と喜んだ。
だが、直近12カ月間の累積はまだ54万4658人分の雇用喪失だから、手放しで喜べる状態ではない。例年の雇用のピークは、歳末商戦に向けた商品生産が盛んになる9~10月だから、雇用創出はまだ続く見込みだが、12月は歳末商戦用の商品生産も止まり、歳末商戦で戦力を必要としていた商業界も従業員を解雇する傾向があり、年末時点の雇用総数がプラスに転じるか否かの予想は困難だ。
市場関係者は、現在の景気回復の動きは緩やかで、工業や商業の回復同様、雇用の回復も緩やかとの見方で一致しているようだ。
8月の場合、雇用創出が起きたのは、サービス業の2万3299人を筆頭に、製造業1万2873人、商業1万721人、建築業1017人などとなっている。その逆に雇用が減ったのは、農牧業1万2412人、公共利用向けの工業サービス434人、鉱業135人などだ。
地域別の雇用状況を見ると、8月は、今年初めて、全ての地域で雇用増を記録した。最も増えたのは北東部の1万9964人で、収穫期に合わせた労働力の増加と商業界の雇用創出が重なったと思われている。
州別では、サンパウロ州で1万7320人、サンタカタリーナ州でも6130人など、19州で雇用創出が起きた。
なお、雇用状況が改善し始め、新規雇用者の給与はインフレ率以上に上がったというが、8月の新規雇用者の平均給与は月額1495レアルで、同月に解雇された労働者の平均給与の1709レアルを下回っている。