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《ブラジル》テメル大統領がRENCA廃止を断念=アマゾンの森林破壊は回避=環境運動家の反対運動功奏す=国際的な圧力も後押し

26日のテメル大統領(Marcos Corrêa/PR)

26日のテメル大統領(Marcos Corrêa/PR)

 25日、テメル大統領が、8月に出した「銅及び類似鉱物の国立保護区(RENCA)」の開発を許可した大統領令を廃止することを決めた。この大統領令は、アマゾンの森林破壊につながるとして、国内外の環境運動家たちから強い反対にあっていた。26日付現地紙が報じている。

 事の発端は、テメル大統領が8月22日に出し、同月23日付官報に掲載した大統領令で、RENCAの開発を許可したことにはじまる。名目上は、国内での経済活動にも不可欠な種々の鉱物の採掘により、経済発展と雇用の促進を図り、鉱業への投資を呼び込むためだ。鉱業は2016年の国内総生産(GDP)の4%を占めている。
 銅や金、鉄、マンガンその他の鉱物が豊富なRENCAは、1984年に保護区に制定された。法定アマゾンの一部で、北部のアマパー州南部からパラー州に横たわる保護区の面積は4万6450キロ平方キロ。デンマークやエスピリトサント州と同等の大きさだ。
 仮にそれを廃止し、民間企業による鉱物資源採掘を許可すれば、資源開発を名目としたアマゾンの森林破壊が進む恐れが出てくる。
 アマゾンの森林は「地球の肺」と呼ばれ、同地域の森林伐採が進めば、酸素の排出量やCO2の吸収量が減る。アマゾンの森林破壊は結果的に地球温暖化ガスの排出量増加を招くため、国際的な環境問題のひとつとして注目されており、国連からも伐採抑制がノルマとして課されている。今回のような保護区の開発解禁は、それをも破るものにもなりかねない。
 実際、テメル大統領が8月22日に出した大統領令では、RENCAの一部区域の保護区指定を外し、「30%まで開発可能」としていた。
 その後の再検討で、採掘許可の範囲の記述はなくなり、森林保護のためのより詳細な記述が加えられたが、8月28日の大統領令でもRENCA廃止案は生かされたままだった。だが、この段階でも連立政府内の反対の声は少なくなかった。
 連邦政府は8月31日に、より広範な討論の場を設けるため、RENCA廃止の効力を差し止めたが、反対運動はより強力になり、今月12日には、ブラジリアで国内の音楽家や俳優たちの集団によるRENCA廃止反対デモも起きた。
 さらに、世界的にも有名なイベント「ロック・イン・リオ」初日の15日には、国際的トップ・モデルとして知られるジゼリ・ブンチェンや米国の音楽家らもステージ上で反対を訴えかけるなど、国際的な反対運動が広がっていた。
 こうした圧力もあり、テメル大統領はフェルナンド・コエーリョ・フィーリョ鉱山動力相や連立与党の代表者らと話し合い、RENCA廃止の断念を決めた。
 RENCA廃止に反対していた代表的な政治家のひとり、エウニシオ・オリヴェイラ上院議長は25日、「大統領の決断に感謝する」との声明をネットで表明している。